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Dies irae ドラマCD 「Todestag Verloren」

Dies irae ドラマCD「Todestag Verloren」 | MUSIC | Dies irae Portal Site

Dies iraeのアニメ化企画に伴う再始動展開の第一弾として、新たなドラマCDが発売された。コンテンツを再び転がすための助走期間というか、準備も兼ねてという意味合いを多分に含んでいるであろう今回のドラマCD。今回描かれたのはかつてのカップリング人気投票でも評判が高かったマキナ(ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲン)とロートス・ライヒハートの2人を主軸に、グラズヘイムでふたりが雌雄を決して「聖槍十三騎士団が全員揃ったとき」のこと。ただ、それは今まで描かれていなかった情景ではあるものの、既存の情報から推測可能であって衝撃の新事実が隠されているという訳でもなかったので、どことなしの消化試合感があるなと思わされてしまったのが残念でならない。このエピソード自体はファーブラの頃から待ち望んでいたものであるだけに。
ついでに言えば、CGと文章というイマジネーション想起の補助がないところで音声とSEだけでバトルが展開することには、迫力の無さというか、端的に言って”燃え切らない”感があり、ドラマCDという媒体の限界を感じずにはおれない。これは今回に限らず以前のドラマCDでも感じたところではあるとはいえ、表現媒体を変更することの難しさということをあらためて認識することにもなり、アニメ化に対しての懸念事が増えたといえなくもない。

……だがそれでも、あのBGMにあの声優陣があのキャラクター達にあらためて声を付けているというその事実だけで、不覚にも心が沸き立ってしまったことも事実であるとは認めずにはおれない。Dies iraeというコンテンツのポテンシャルというか、キャラクターにもそれを演じる声優陣にもその舞台背景にも大きな力があるということをあらためて再確認させられてしまい、正田の術中にまんまとハマってしまったようで悔しいったらありゃしない。以下雑感。

まず今回の主役格であるマキナ。本編に比べれば独り語りの頻度も多かったのだがさすがは低音に定評のある左高蹴さんというべきか、盤石の演技でそれに応えておりそこには不満はなかった。ただ、今回はロートス・ライヒハートとミハエル・ヴィットマンの友情の様がもっと描かれるのかと期待していたので、そこについてはやや肩透かし感。グラズヘイムでの雌雄を決する瞬間こそが本題であるということは理解してはいるものの、ロートスとミハエルの友情や奇縁こそがディエス本編における蓮とマキナの因縁となり、更には遥か未来の神咒にも繋がるものであるだけに。

同じく今回の主役格であるところのロートスについては、描写こそさほど多くはないものの補完できる材料が増えており個人的には好印象。一番は、思っていた以上に明るくひょうきんで、かつ熱いキャラであるということが前面に出ている点。今までもそういう要素はあったし(たとえばドラマCDの玲愛ルートアフターでの酒場のシーンやルサルカアフターでのリザの声真似云々の暴言など)蓮も実はそういう要素があったが、それをより前面に押し出しており、蓮ともメルクリウスとも違うロートスという個なのだと実感させてくれる。ただ、ディエス本編をプレイしていれば周知であるとはいえ、何故ロートスがああいう渇望を抱くようになったのかということについては、すこし説明を入れても良かったのではないかと思った。

次に騎士団残留組であるベイとマレウス、シュピーネ。良くも悪くも事象の中核に絡みきれない彼ら彼女らだからというべきか、コンテンツの最初期(序盤)から登場していたということもあるのだろうか、全体的に演技へのブレが少ない。ベイなんかはきーやんが得意なチンピラめいた演技の方向性だからかもしれんが、一発でああベイ中尉だ(笑)と納得してしまうのが凄い。むしろ、ルサルカの(玲愛ルート以降で後付けされた)ロートスの事を気に掛ける純情ロリビッチな演技の方にこそ違和感を覚えてしまうというのがなんともはや。
しかし何よりもシュピーネさん。これは以前のドラマCDでも感じたことではあるが、(ある程度は後付けであるとはいえ)「キモい小物であり弱い人間である」ということと「洞察力に優れた切れ者であり、曲がりなりにも聖槍十三騎士団という魔人の集団の一員である」ということ、ふたつを両立させているのは上手だなと。今回描かれた応酬はBefore Storyでのベイとのやりとりを思い出してニヤリとさせられた。

次に教会組であるヴァレリアン・トリファとリザ・ブレンナー。聖餐杯として、首領代行としての邪な聖者として覚醒してしまう直前の、迷い怯える神父様の姿がまず素晴らしい。しかしなによりリザが、黎明からこの頃までは、ヴァレリアに微かにフラグが立ってたんだなぁということが再確認できてしまうところがもうたまらない。己の能力に振り回され思い悩んでいた頃のヴァレリアン・トリファをリザが好ましく想っていたというのは、出逢った場所が違っていたら、似合いのおしどり夫婦になっていただろうに……と悲しい気持ちになってしまう。本編の展開やその後のアフタールートを思い返せばなおのこと。夫婦といえば、リザの子供であるところのイザークも登場したけど、彼についてはあまり語れることが無いのがとても残念。

そして後の突き抜け組であるエレオノーレとシュライバーだが、本格的に渇望を拗らせるちょい前といった趣があってなかなかに興味深い。エレオノーレなんかもラインハルトへの忠誠心(笑)に雁字搦めになる一歩手前という印象で、それを苦々し眺めているであろうベアトリスとの対比はそのまま本編に繋がっているなぁとも。特にベア子は黎明の頃の純情ワンコの印象はかなり薄れており、戦場を駆ける戦乙女としての経験がそうさせたのであろうなと思わされるんだけど、欲を言えばもっと櫻井一族との絡みとかを見たかったかな。

最後に、諸悪の根源であるところのラインハルトとメルクリウスだが、こいつらは安定の平常運転すぎて、正直あまり語ることがない。敢えて言えばメルクリウスのクソ野郎にキモさが足りないと思ってしまうことくらいだが、これはファーブラ後半の先割れスプーン大先生の神懸かった演技を無意識に連想してしまうからであろうし。ただ、久しぶりに聴いたラインハルトのグラズヘイム創造の詠唱には心の中の厨二病が刺激されて思わずグッと来てしまった。悔しいけど、これが好きだから正田崇を見限れないんだよなぁ…………


余談になるが、今回のドラマCDの帯には「ああ戦友よ、我らの命日は何処にある?」という煽り文句があるのだが、これは我々のような以前からのユーザーこそが言いたいんだけどなぁ…となんともいえない気持ちになってしまった。魔城に囚われた哀れな魂と同様に、ディエスが新しい展開を迎える度に墓場から掘り起こされて多々買わされてしまう我々の作中事象とのシンクロっぷりったらないよ。

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