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『Dies irae』アニメ化プロジェクト終了記念 スペシャルムービー公開

Dies iraeアニメ化プロジェクト
美少女ゲーム「Dies irae」アニメ化プロジェクト 1日でクラウドファンディングの目標達成 - ねとらぼ

Dies iraeのアニメ化を支援するクラウドファンディングの出資者特典として、限定公開のデモムービーが公開された。Dies iraeのクラウドファンディングプロジェクトは、結果としては当初の目標額の3倍を上回る1億円近い金額の出資が集まったということで耳目を集めており、「その他大勢」として埋もれないだけの話題性の創出という点においても成功した…と言えるのだろう。

(以下、長文でDies irae CF化プロジェクトへの愚痴が続きます。閲覧注意)

だが、個人的には、そもそも「ディエスのアニメ化」ということ自体にあまり乗り気ではなかったし、クラウドファンディングでの支援というスタイルにも良い印象は抱いていない。理由としては複数あるのだが、そもそもディエスという作品が…というよりも、「厨二病伝奇バトルというカテゴリがアニメ化への敷居が高いカテゴリである」ということがある。紙芝居アドベンチャーという表現形式だったからこそ、「誰よりも早い」とか「必ず当たる」などといった厨二病ライクなハッタリを、音楽とか演出とか絵の力によって誤魔化せていた(細かく描写をせずに済んでいた)のであって。文章だからこそ読み手のイマジネーションで補完していたものを映像化するからには、それを視聴者を納得させるだけの説得力を持った形で描写する必要があるのだが、豊富な資金とスタッフを集められる政治力がなければその実現は難しい訳で。クラウドファンディングで資金調達をしているような状況下でそれが望みうるかと言われると甚だ疑問であるし、よしんばそれが実現したとして、そのようなハイクオリティの映像が須く視聴していて楽しいものになるかというと、必ずしも真たりえないというのもまた事実。

次に、上記の事項とも関連して来るのだけれど、「原作ゲームのシナリオライターである正田崇自らがシリーズ構成として入る」という点。文章媒体と映像媒体では執筆に必要とされる能力が異なるから、ADVゲームのシナリオライターとして有能であっても、アニメの脚本家としても有能とは限らないというのはよく言われるところ。(高橋龍也や虚淵玄などの場合、彼らはゲーム媒体の頃から、元ネタをリスペクトした上で、渡されたお題目に対してキッチリ成果を返す職人的な側面の方が強かったから、たまたま適性と才能がそちらの方面にもあっただけであろう)
そしてディエスにおける正田崇の場合、筆が赴くままに突っ走って暴走した際の爆発力は非常に高い反面、「定められた枠の中に、表現すべき要素を整理して綺麗に収める」適性が高いとは考えにくいのに、その彼がシリーズ構成という役を担うことには不安しか覚えない。まゆきDのような調整役が手綱を握ってハンドリングするならともかく、原作兼出資者サイドという無理を押し通せる立場でアニメ化に関わるのであれば、ストッパーが効かずに逆にバランスが悪くなるという可能性は十分に考えられる。個人的な見解でいえば、設定監修としてネタ出しや最終的なOK/NGのジャッジにすべて関わる形にした上で、シリーズ構成には優れた原作を取りまとめて交通整理をするのが上手なベテランライターに入ってもらうというのがベターだったのではないかと思っているのだが……


しかし何よりも、「過去にさんざんやらかしたディエスというタイトルを」「ユーザーにクラウドファンディングという負担を要求する形で」「完全に旬を逃した今さらアニメ化に向けて動きだす」という企画の根っこに対しての強烈なネガティブな感情がある。
そもそもDies iraeというタイトル自体が、07年版が大失敗して怒りの日を引き起こすも、紆余曲折の結果なんとか完全版の発売まで漕ぎ着けた曰く付きのタイトルだったというのに、CFプロジェクトのページとかニコ生とか眺めてると、その顛末を美談だったかのように「昔はやんちゃしてた俺たちだけど、今はもう更正したんだZE☆ だから応援よろしく!」とでも言わんばかりの態度を取っており、神経を逆撫でされることこの上ない。クンフトでの再始動以降、あるいはCS移植以降にディエスを知ったであろう大多数のファンにとっては太平洋戦争の頃の昔話ほどに実感がない話だろうからそれでも支障はないと判断してるのかもしれんけど。

そして今さらのアニメ化企画という点。もともとメーカー側(服部代表?)が派生展開に欲目を出していたことはあからさまだったのはで、企画自体に驚きはなかった。コンシューマへの移植や全年齢版サイトの構築などもその足場作りの一環なのだろうなぁという想像はしていたので、たとえばCS版が発売されたタイミングだったり、あるいはif展開である神咒CS版が発売されたタイミングであればまあ盛り上がっただろう。だが、これだけ時間が経過した今になってのアニメ化企画というのは、はっきり言って今さら感が非常に強く、そりゃアニメ会社だって二の足を踏むわと逆に納得してしまう。というか、積極的にプロモーションすべきであったはずの新作である万仙陣の発売日というCFの発表タイミングは、脳みそ沸いてるんじゃないかと思ったよわたしゃ。

そしてクラウドファンディングという手法。今回のディエスの場合は、購入型の体裁を取ってはいるものの実質的には「寄付型」の側面の方が強い。当初の目標金額である3000万という金額がどのように使われるかというのが今ひとつ不鮮明であったということもあるのだが、「ディエスをアニメ化する可能性」に対してどれだけベットできるかを試されていたとも言える。が、もっといえば、クソみたいな出来に仕上がって思い出を汚されたくなければ金を払えという、どことなく「Diesというコンテンツへの思い入れを人質に取られて、足下を見られている感」が漂っており、そこへの忌避感があったのだと思う。

というのも、ツイッター上でMethod of Entryの焼津さんともすこし語ったが、もし07年版でスワスチカが開いて阿鼻叫喚だったあの当時に「完全版を制作するためのクラウドファンディング」があったとしたら。目標金額を達成したら完全版(マリィ・香純ルート)を制作、更にストレッチゴールを達成したら螢・玲愛ルートを作成します!なんて言われたら、当時の俺たちは間違いなく、血涙流しながら札束叩き付けていただろうことは想像にかたくないからだ。「金で解決するならどんだけでもお布施してやるから、頼むから製作再開してくれ!」というのが、あの当時においても期待を捨て切れなかったユーザーの偽らざる心情だったと思う。今でも、玲愛先輩がちゃんとフォーカスされる真・玲愛ルートを製作しますとか言われたらボーナスそのままぶん投げるくらいはするよ俺は(その点では今回のCFでその辺が提示されなかったのは良かった。プレミアムな金額を出せばルート希望を出せるとか言われたらアカンかった)

ただ、誤解されたくないので声を大にして宣言しておくが、自分としては「CFで金銭的な負担をすることがイヤ」な訳ではない。むしろ、オタクの端くれとして、気に入ったコンテンツには進んでお金を払いたい、むしろ払わせてくれと望む方である(でなければこれだけ積みゲーや積み小説や積みBDが膨れ上がらない…) だけど、どうせ同じお金を使うなら、気持ち良く使わせて欲しい。オタクなんて大なり小なり「お金を注ぎ込むことに快感を覚える性癖」があるんだから、うまくくすぐってやればホイホイとお金出すというのに、なんでこんな気分悪くならなきゃならんのよ。


ということでまあ、(非エロゲクラスタまで巻き込んだ)話題性とは裏腹に、鬱々とした感情を抱え込んだままでプロジェクトの進行を眺めていた。とりあえずクラウドファンディングに投資はしたものの、予想以上の成功を無邪気に喜べるでもなく、さりとて無視を決め込んで達観できない程には心をかき乱されており…といった中途半端な精神状況でいたので、CFの支援特典のムービーが公開された時にも、正直それほど乗り気ではなく、まあ金払っちゃったしとりあえず見ておくか…程度の心境だった。のだけれど。

なんでこんなにテンションだだ上がりになるんだよ俺は!悔しい!!!!

なんか毎回このパターンを繰り返している気がして、これが副首領閣下の法術なのね以下省略。そんな何年も前からくり返していたフレーズをまた引っ張りだしてしまうほどに、まったく違和感なく、あの頃のディエスの世界に立ち戻らされてしまった。プレイ途中の万仙陣の鎌倉の印象が完全にすっ飛ぶ勢いで、一発であの懐かしい学園伝奇バトルオペラの世界に引き戻されてしまった。アレから時間が経って新作も出て、さすがに良くも悪くも冷静に判断できるだけの冷静さが身についていたと思っていたはずなのに歴史はくり返すというか、未だに永劫回帰の軛から解き放たれていなかったと知った時のなんともいえないこの気持ち。ニート死ね。

まず声優陣。間にCS版やらドラマCDやら神咒を挟んだとはいえ、数年ぶりの演技のはずなのに、概ね当時のままのノリを保っているのは素直に凄い。あいかわらず獣殿は圧倒的だし、メルクリウスはウザくて鬱陶しいしベイはチンピラだしルサルカはビッチだ。ただ、たしかに何人かの演技にはちょっと違和感を覚えたのもたしか。具体的には神父様とかリザとかはなんか違う感じがするし、三騎士は本編と言うよりもその後のドラマやら神咒やらの影響を強く受けているように思える。玲愛先輩は以前から演技の温度差調整が難航してたからいつも通りというか。まあこのあたりは、それこそ今後の展開の中で調整をしていくのだろうから、それほど問題視はしていない。もともと実力派ばかりを集めていたコンテンツであることだし。(ほんと、このメンツを07年版開発当時にキャスティングしていたというのが返す返すも恐ろしい。どんだけだよ)

ムービーの内容については、CFに出資するようなゾウリムシ共爪牙に向けてのファンサービス的な側面が強いためか、わりとメタな発言が多い。刀になっただの武将になっただの神父様が全力で!だのという中の人の別世界ネタも、今までのディエス…というか正田の筆ではあまり見られなかった内容だから、これはこれで新鮮に感じた。結婚しただの子供が産まれただのCD出しただの、中の人の時事ネタ的要素を多く入れ込んでいるのも、ある意味今回のようなギャグ全開でも許される機会だからこそと言えないこともないし。
そんな内輪受け的な要素が強い内容ではあったが、最初と最後を締めるラインハルトの(良くも悪くも)本編から変わらないノリは、新作を経た後でも、正田崇がDies iraeという物語を再び紡ぐこと自体には期待をしてもいいのではないかと思わせてくれるには十分だった。アニメという媒体からくる不安感だったり、lightという会社に対しての不安感だったり、正田崇は調子に乗りすぎじゃね?という不安感だったりとネガティブな要因は尽きないものの、怒りの日直後の未来が見えない絶望感を思えば大分マシ。中の人が出演するニコ生なんてアニメ化が切っ掛けでなければまず実現しなかったであろうし(生天目さんにルネ山とか最高かよ…!!)、今後はもう少しポジティブな気持ちで相対しようかと思っている。


……だが、一点だけ、これは絶対にどうしても許せないし譲れないので可及的速やかに是正して欲しいのは、「玲愛先輩を、いくら弄りやすいからってツイッター発祥のネタ扱いヨゴレキャラにする風潮いい加減になんとかしてくれませんかね!!!???」という点だ。

他のキャラはどれだけギャグっぽくしたところで、大なり小なり本編の内容に準じた部分を大げさに強調したり崩したりしたものだからまだ納得できる。だが、玲愛先輩は、いくら毒舌だったり電波だったりという設定があったとしても、あんなヨゴレキャラじゃなかったはずだ。なのになんでこんなにネタキャラ扱いが定着しちゃってんだよ!? 他のヒロインズじゃ話を回しにくいからってことで、いかにも便利に使われている感がハンパなくて、ものすごく気分が悪い。
お遊び的な企画に対して過剰反応しすぎだと言わば言え。だが、玲愛先輩は07年版でルート抹消されたり完全版の自ルートが黒円卓ルートだったりアフターシナリオが最終的にルサルカに全部持ってかれたりif世界の神咒でアレだったりと、ずーーっと扱いに不満があったところに、アニメ化というまったく新しい展開の初っ端からこんな雑な扱いされてるものだから非常に苛立ちが募る。そもそも俺は、ゲーム序盤(体験版部分)とWehrwolfでの玲愛先輩に撃ち抜かれてしまったからこそ、Webサイトで公開されていたタワーのシーンの儚げな切なさと健気さに心を奪われてしまったからこそ、07年版の直撃を受けてもその後のグダグダがあってもなおDies iraeに執着しているのであって。お願いだからもうちょっと扱い良くしてもらえませんかね、ほんと頼みますわ。

ああ、アニメを玲愛先輩ルートで確定してくれたら全身全霊で手のひら返すよ。

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