リニューアル後の7月に入ったタイミングでWeb版の体験版弐も公開されたが、それについては以前のエントリでさんざ語っているので割愛。ちなみにWeb版では、収録されたボリュームは同一ではあるが戦闘シーンなどの演出が強化されたり、BGMが数曲追加されたりしているのが変更点。追加された楽曲は安定した高クオリティで、さすがは与猶啓至といった感じですわ。
今回の一番のトピックスとしては、人物紹介の項目がアップデートされ、ついに謎のベールに包まれた敵方の主力である天魔・夜都賀波岐がビジュアルと共にお披露目されたこと。既にエイプリルフールの時に(ポンチ絵のビジュアルではあるが)チラ見されてるし、雑誌先行の体験版弐で夜都賀波岐の正体がアレであることが判明しているし、一番のデカい弾は既に投下済みだからそれほど堪える衝撃ではないだろうと思っていたらふざけんなよ正田ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!どこが「ディエスを知っていればニヤリと出来る程度」だよ!
(以下、『神咒神威神楽』体験版部分および『Dies irae ~Acta est Fabula~』の致命的なネタバレを含みます。閲覧注意)
天魔・夜刀
既に体験版弐で正体が明かされており以前のエントリでも書いたが、まず間違いなく前作『Dies irae』の主人公である藤井蓮がその正体のベースであろう。(ビジュアルは創造位階の涅槃寂静・終曲がベースと思われる)もともと夜刀神は元ネタの伝承の上でも蛇神ではあるものの、蓮と関連する「双頭の白蛇のビジュアル」となると、どうしてもメルクリウスとの相似性に意識が行ってしまうな。今回の天狗道世界にニートが転生しているかは不明だが(存在の強度が高すぎるので、まんまの形で存在している事はないと推測してはいるが)現在の夜刀に藤井蓮の原型であるニート成分が混じってしまっている可能性は否定出来ない。
その大極は「無間大紅蓮地獄」で相対するのはメインヒーロー格である覇吐のようだが、夜刀を潰さない限り他の全員が復活するってのは酷い無理ゲーだな。ディエスのラインハルトの創造位階無限展開(ラインハルト城)のようなイメージでいいのだろうか。ほんと正田は容赦がねえなぁ…… つーかそもそも東征軍のメンツじゃ、体験版時点の戦力差では夜都賀波岐オールスターズにはどうあがいても勝てないだろう(笑)
天魔・常世
玲愛先輩!玲愛先輩!!玲愛先輩!!!
その容姿がそもそもドンピシャだし、緑色の衣服が黄金錬成における翠化を思い起こさせるところから、二代目ゾーネンキントである氷室玲愛に相違あるまい。その冷えた風貌にはイザークお祖父ちゃんがちょっと入ってるような雰囲気もあるが、全化外を指揮して云々みたいな記述もあるし、ある意味では揺るぎなき獣殿の系譜だなあと感心した。
マリィルートアフターの玲愛先輩だと考えると、“夜刀を深く愛しているが、常に一歩引いてその気持ちを表に出さない。どうやらそれは、彼女流の義理立てらしいが真相は不明。”というリード文に悶絶ですよっていうか何故そういう切ない展開をディエス本編でもっともっと前面に押し出さなかったのだド畜生ッ!(血涙) 「許さない。行かせない。ここから先は一歩だって、あなた達を進ませない」という台詞が雛見風香ボイスで無限脳内再生ループ余裕ででしたってだからそういう展開をもっともっとディエスで見たかったんだよ!(愚痴無限ループ)随神相が一番キモいらしいがそんなこたぁどうでもいいんだよ!!
その大極は「無間衆合地獄」らしいが、ゾーネンキントの流出(聖櫃)の役割がラインハルト城の永続展開であったことを考えれば、夜刀(練炭)の渇望を穢土全域に広げる補助の役割を果たしていたりするのかもしれないなあ。相対するのはメインヒロイン格である竜胆のようだが…………ぶっちぎりで常世先輩を応援してしまいそうですわ俺。いや負けるのは分かってるんだけど(というか負けなきゃ話にならん)。自身のルートやドラマCDでは黒円卓の連中に出番をかっ攫われた感があって猛烈に食い足りなかったところを補完してくれるような超絶切ない物語であることに期待したい。
天魔・宿儺
ビジュアルでルネッサンス山田枠特定余裕でした。
ディエスの遊佐司狼というか、正田崇作品に猿田彦のごとく登場するルネッサンス山田キャラの系譜というか。正田崇のツイートによれば
ルネッサンス山田の系譜とはインポであり、金髪であり、服が派手なことであり、銃使いであり、トリックスターであり、他人を弄るのが趣味であり、基本的に嫌な奴であり、頭が切れ、クレイジーだが、振り返ってみると作中でトップクラスに真面目で、懸命に生きている男であること。
そしてどの世界にも必ず登場し、中核レベルの秘密に触れること。
地味に勝ち組である。神座交代システムの原初に関わってるキャラ……だったらいいねとスタッフ間でネタにしてます。
だそうで。今作でもそういうポジショニングで一番美味しいところをかっ攫っていくのだと思うとそれだけで期待値がマッハ。「本当にひとりなのか」「何か、分裂しているようにも見える」という寸評からすると、魂が融合した恵梨依の登場フラグが立っている可能性もありそうだし、さらに穿った見方をすれば、ディエス玲愛ルートでの展開から香純も統合されているという推測も成り立たない訳でもない。(実際にはマリィルートアフターと考えるとそのラインは微妙かもだが)。
対峙するのはとうぜん前世での因縁込みで刑士郎(ベイ)に決まっているのだが、彼にとっては鬼門ではないかという夜行のコメントに吹いた。ですよねー。引っ掛かる点としては、竜胆が冷泉公の名前を挙げていること。司狼(宿儺)と冷泉公にリンクするところなんて思いつかなんだが、その共通項こそが冷泉公が東征軍に対しての脅威となるキーになるのだろうか。
つーか、洋風ガジェットNGの本作でも銃使いっつーことは、火縄銃かマスケット銃かなんかをマミさんのごとくぶん回したりするのかしら。
天魔・奴奈比売
その容姿からすれば正体はルサルカ(アンナ)だろうとは思うのだが、正体は今ひとつ確証が持てない。キャラデザからはどことなく香純の成分が混じっているような雰囲気がないでもないし。ただまあ犯されて云々という発言しているからルサルカベースなだろうな。まあCVが木村あやかなのか佐本二厘なのかで判断は出来るだろう(苦笑)
他の柱に比べると憎悪よりも病み成分の方が強い印象を受けることが気に掛かるし、なぜ西側に禍憑きを垂れ流しているのかとか(足を引っぱりたい渇望の変形?)大極である「無間黒縄地獄」は、“なんでも使える”というのがバリエーション豊富な血の伯爵夫人の変形なのかとか、いまいち正体を推し量りにくいキャラではあるな。つかこんなのと咲耶との間に何の因縁が生まれるのかさっぱり分からんわ。
天魔・悪路
装甲悪鬼屑兄さん爆誕。
すべてを腐り落とすという大極「無間叫喚地獄」の内容からも、最低の屑である櫻井戒でまず確定だろう。この風貌だと、石川ゆうすけさんが暗黒星人モードな演技をしてきそうな錯覚に駆られてしまうのが困るな。全然違和感なさそうだし。出し惜しみされたせいでディエス本編では今ひとつ掘り起こしきれず消化不良の感が漂う彼だけに、今回でそのあたりをきっちり回収してくれることを期待したい。
相対するのは宗次郎。悪路王と坂上田村麻呂の絡みで覇吐かと思ったんだが、夜刀の正体が練炭だとすると宗次郎では釣り合いがとれないからなぁ…。「宗次郎でなければ倒せないだろう」とか言われているが、現状では謎に包まれたままの宗次郎の禍憑きの内容が効いてくるのだろうか。そういえば戒兄さんも剣士としての力量はかなり高いという設定もあったから、剣で対決なんて展開になったりするのかもしれん。
天魔・母禮
みたまんまストレートに、ベアトリスと櫻井螢の融合体ですな。声もかわしまりの以外にはありえん。なにより悪路兄さんとの間柄が「兄妹であり恋人同士」であるというフレーズにびくんびくんと超反応。やっと結ばれたかと思ったらこんなシチュエーションでとか、ほんと最悪で最高だよド畜生。「兄とは異なる激情家」というあたりはアホタル成分かなとも思ったが、考えてみるとベアトリスも結構直情的だったし、とするとこの融合は(声優が被ってるっつーのを脇にどけておいても)しっくりと来るものなのかもしれない。
大極の「無間焦熱地獄」が“人智を越えた規模で燃える炎熱と稲妻の化身”というのが前世的にストレートすぎてヤバい。これの発動時にThrud Walkureの和風アレンジなんかが流れたら気が狂いそうだわ。対する東征軍は紫織姐さんだが、武威を極めた女性という以外に今んとこ共通項が見当たらないので、どのような展開になるのか皆目検討がつかねえ。まあこのあたりは素直に本編に期待。
天魔・大獄
「役者が良ければ芝居は至高―― なるほど負け犬の戯言だ」という抜き書きが、ディエスでのメルクリウスの
「では一つ、皆様私の歌劇をご観覧あれ。
その筋書きは、ありきたりだが。
役者が良い。至高と信ずる。
ゆえに面白くなると思うよ。」
というマリィルートでの台詞への意趣返しだとすれば、「宿儺とは違う意味で特殊な立ち位置」「ことによれば夜刀に反目しているようにも見える」という夜都賀波岐におけるポジションとその風貌ともあわせてマキナではないかという推測が立つ。しかし、龍明(エレオノーレ)が何かを知っている風情だったり、素顔を見てはいけないという話からするとラインハルトかな?という印象もないではないんだよな。「若い頃のメルクリウス」がテーマである夜行様が対戦相手ということもあるし。とにかく大嶽さんは謎ばっかりなんで、今の段階での予想はすべて徒労に終わりそうだなあ。
天魔・紅葉
紫に染まった髪の色・エロい泣き黒子・龍明と因縁・毒婦呼ばわりというところからリザ・ブレンナーだろうな。「問答無用の好戦性がない」とか敵側の中では理性派であるというところも彼女の性を思い起こさせるようだ。鬼無里を直轄領として持っているという話だが、大極である「無間等活地獄」も、死者を操るリザの特性が流出域まで拡大すれば余裕ということなのかしら。
しっかし龍水…つうか御門一門と因縁があるということだがどう話が繋がってくるのだろうな。西側の呪術使いが実は鬼無里からの落ち人だったとかそんなオチかもしれんけど。個人的には龍明さんが紅葉をどのように評するのかがとても楽しみだ。女の戦い再びにも期待したいところではあるが、さすがにそれは実現しなさそうだからなぁ。
という訳で、夜都賀波岐のメイン8柱全員がディエスの登場人物、しかも蓮サイドのレギオン(絆)でしたという、予想通りのど真ん中コースではあるものの予想を上回る球威のボールが投げ込まれてきましたですよ。そもそもの歴史における土蜘蛛(まつろわぬ民)の成立の経緯やそのあらまし、さらには世界各地における「土着の神話・神々が侵略者側の有力な宗教に蹂躙され踏みにじられ、その体系に取り込まれていく」経緯を思えばむしろ原典に忠実と言えなくもないけれど、それにしてもあらためて明かされることでの衝撃は大きすぎる。
ここまでディエスとの関連性が高くなってしまうと、「新しい作品で正当な評価を得る」というのは難しくなってしまうのではないか?という危惧も出てくるな。ディエスに思い入れを持つユーザーを満足させながら、しかし物語の主軸は主人公である東征軍から揺らがせないというのはかなりハードルが高いと思うのだがどうだろうか。「東の夜都賀波岐の名は世界から消えた咒なので、西側(東征軍)からは認識も発音もできない」といった理由を付与することで、新規ユーザーに対しても配慮しているとは分かるのだけれど。
それにしても、夜都賀波岐の正体とその魂の変遷に思いを馳せると
神州の東には浄土がある。
英雄。客神。
愛と友情の
摩訶鉢特摩――
というエイプリルフールの時のリード文は皮肉が効きすぎていてちょっと辛い。
コメント
夜都賀波岐の正体については「正田死ね」としか言えない。
アンタどんだけひんまがってんだよw
前作の主人公チームをここまでバッドエンドに持ってくるとか普通ねーよ。
まあその悲嘆と叫喚にロマンと期待をもってしまう自分たちも、業が深いとは思うのですが。
2011-07-06 08:50 防人 URL 編集
Re: タイトルなし
ここまで前作の主要キャラをボッコボコにするとは、まさしく正田の愛は破壊の業ですな。
しかし、何が巧妙かって、悲惨ではあっても、期待感を煽るギリギリのラインに留まってるんですよね。
「くやしい…!でも…釣り餌に食い付いちゃう!(ビクンビクン」と身悶えせざるをえない。
これで夜都賀波岐のCVが発表されたらまたひと波乱あるんでしょうねえ(苦笑
2011-07-07 00:25 御名方 URL 編集