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『CURE GIRL』 コンプリート

CURE GIRL

今まではロープライス市場で展開していたNoesisの初となるフルプライスタイトル。「ダメ人間たちのコミュニケーション」という、(最近のラノベとかで見かけそうな)ネタを引っ張ってきたので注目していたのだが、正直期待はずれだった。

ゲームは女の子とのコミュニケーションで親密度を上げていく前半の共通ルートと、好感度を上げたキャラとの物語が展開される後半の個別ルートに分かれるのだが、とにかく共通ルートのシステムが練り込みが甘すぎる。会話の話題を選んでヒロインとの親密度を高めていくシステムだが、会話カプセルのバリエーションが少ないので途中で「やらされている」作業感を強く感じるようになるし、会話チョイスのゲーム性が低いので攻略の意欲が高まらない。というかそもそも会話イベントが単調で面白くねえのが致命的で、途中で眠くなってくる。
そんな苦行を経た末の個別ルートもあまり良くない。「物語展開がありきたり」「前振りなく物語が動くから拙速な印象を受ける」というところに問題があって……つうか、本筋の攻略ヒロインとの交流よりも、枝葉であるラーメン屋や中華料理屋のイベントの方が印象に残るっておかしくないか。この主人公の日常って延々とSNSに入り浸ってはラーメン喰ってるだけじゃね?と感じてしまうってのは確かにダメ人間の日常としてはリアリティがあるかもしれんが、それじゃダメだろう。

ただ、シナリオ以外の要素は良いのが困るんだ。そもそも絵がいい。珈琲貴族の絵がフルプライスのボリュームで拝める幸せ!! 今までは抜きゲー要素の強いロープライスタイトルばかりだったけれど、今回はフルプライスということもあってボリュームは豊富だし、明るめの彩色だし、メインヒロイン3人とも造形が可愛いしで言うことありませんわ。顔のバランスがまちまちに感じるところはご愛敬。
その絵の魅力に引き摺られてか、エロもそんなに悪くはなかった。地のテキストは普通だし尺も長くないしでもっと熱くなれよ!と修造ばりに吼えるところだが、キャラデザの良さ(黒髪ロング最高!)と声優の魅力(乃嶋架菜最高!)とコスプレシチュの多さ(半脱ぎ!ブルマ!スク水!メイド服!!)のおかげでそれなりに実用性が出てくる。凌辱シーンはシチュを水増しするために無理矢理押し込みました感が漂うけどそれはそれで。俺にとっちゃ貴重な乃嶋架菜枠というだけで価値があるわ。

それから、折倉俊則氏が手掛けた音楽がすげえ良い。名前だけだと誰?という感じだが、『Triptych』(ALcot)や『Aster』(Rusk)のサウンドを手掛けた人と言えば、分かる人は分かるだろう(ちなみにブランド前作の『フリフレ』とかも手掛けてたりする)。BGMは自己主張バリバリで空気読まない感じ(頻繁に使われる日常BGMに女性コーラスが入る時点で推して知るべし)なので、ゲーム上での役割を思えば賛否両論だろうが、クオリティについては文句を付けるところがない。aya Suekiと真理絵が歌う主題歌が素晴らしいのは言うに及ばず。最初から音楽の出来を当て込んで、サントラをコンプリートできるソフマップで予約したけど大正解だったわ。敢えて苦言を呈すとすればベースとなる楽曲のバリエーションが少なめで、同じ曲のアレンジ違いというパターンが多いことくらいだけどまあいい。


でもまあ、トータルではやはり「着眼点・コンセプトは良かったんだけどうまくゲーム化出来ずにとっちらかった失敗作」以上のものでしかないのがすごく勿体ない。ブランド初というのが関係しているかは不明だが、「フルプライスの作り方ではない」という(その根拠をイマイチ言語化できない)印象を強く持った。「ダメ人間同士のコミュニケーション」というコンセプトはどちらかというと中短編向きかなという気もするし、ミドルプライスのボリュームで最初から作っていれば、無駄な要素を入れ込む余地はないしアラも見えにくくなるから良かったのかなあなんて思ったり。
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