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『死神の接吻は別離の味』 コンプリート

死神の接吻は別離の味 - ALcot Honey Comb OFFICIAL PAGE

過去に囚われた内罰的な人物を主人公に据えた本作品のような物語は、鬱屈した、息苦しい雰囲気になってしまうことが往々にして多い。だが今作は冗長な描写がそぎ落とされ、熱くなりきらず醒めきらない、適度に抑制が効いた雰囲気になっている。物語が最終的に行き着くところや描かれる景色はそう珍しいものではないけれど、その作品全体の雰囲気の良さが全体の印象を底上げしているので、あまり不満には感じない。水増し目的の日常シーンが少ないので、ストレスを感じずにテンポ良く進むことも印象を良くしている。
同じライター(おるごぅる)で以前にプレイした『うちの妹のばあい 純愛版』ではその描写に冗長さ・回りくどさを感じたことが何度かあったから、ミドルプライスに価格を設定したことが結果的には良い結果を生んだのかもしれない。

ネットでは「なんで? 普通、兄って妹で童貞を捨てるものじゃないの?」などといったトンデモ発言を繰り出す雫に注目が集まっていたようだが、個人的には“普通の女の子”っぽさがバリバリな新島ほのかが良かった。このCGこのCGから醸し出される垢抜けない雰囲気がたまらなく好み。声優のキャスティングは全体的に手堅い奇を衒わないものばかりだったが、ストレートだからこその良さというのが出ていたようにも思う。
エロは各キャラ3回と平均的な弾数ではあるものの、妙に粘着質でフェティシズムを感じさせるテキストとキャラへの愛着、声優の演技が合わさることでボリューム的な充実感は予想以上にある。エロと日常がセパレートになってしまうゲームが多いが、エロへのシチュエーションの持ち込み方でキャラを立てているのも、カロリーを押さえつつ満腹感を高めるいい手法だと思う(“エロ”ゲーとしては、本来はそれが当然であるべきだと思うけれど)。


琥珀ルートとほのか/雫ルートの扱いの違いはすこし引っ掛かった。物語としてはあくまで琥珀ルートがメインで残り2ルートの比重が下がってしまうのは仕方がないことかもしれないが、キャラクターとしてはどちらも魅力的(個人的にはむしろ琥珀が一番見劣りした)だったので少々残念に思う。また、作中で語られる死生観や生死に対してのルールが“いいとこ取り”のように処理されることが(特に要所となる終盤の展開において)何度かあったため、どこかご都合主義的な展開に見えてしまったことは最後までなんだかなあという気分が残った。


コンパクトにまとまった話、多少バリエーションには欠けるがキャラ立ちした登場人物、エロの(質的な)充実……と、ミドルプライスのゲームとしては手堅い造りで、費用対効果という点ではかなり良いのではないだろうか。五行なずなと鮎川ひなたの演技も堪能出来るし。最後の琥珀ルートの死生観のようなものは最後まで受け入れがたかったけれど、それはまた別の問題ということで。
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