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『スマガ -STAR MINE GIRL-』 コンプリート

スマガ -公式サイト-

やっと終了。噂に違わぬ長大ボリュームで何度も挫けそうになった。シナリオのループ構造や周回プレイが大枠の構成において強い意味を持っているゲームだからその長さは無意味ではないんだが、単純にプレイしていて疲れる。それに拍車を掛けるのは全体的にモッサリとしたシステム周り。既読スキップはクソ重いし選択肢の直前の読み込みで一瞬待たされるしクリック回数は多いしでイライラするったらありゃしねー。Q9550にメモリ8GBにHD4850にIntel SSD+黒キャビアだから、さすがにスペック的に足りてないということはないはずなんだが。WestmereなXeonでも持ってこいっていうのか。

だが、物語そのものは面白かった。ここまで大掛かりにメタ視点を取り入れたゲームが久し振りというのもあるし、発売当時の2008年の時点でも懐かしさが漂いはじめていた「セカイ系」的な物語構造を持ちながら、そこからいかに逸脱していくか・枠組みを打破していくかという方向に物語を持っていっているのは興味深かった。最後のご都合主義的なオチの付け方についても、そこに持っていくためにあのループ構造があったのだと言われれば力尽くで納得せざるを得ない(笑)。イージーに現実世界優位のお話に持っていかなかったことは偉いと思う。

そしてなにより、音楽がとても良い。Swinging Popsicleがエロゲの音楽をやるって知った時はかなり驚いたけれど(「サテツの塔」の前後のアルバムを何枚か聴いていたから)これが予想していたよりもはるかに素晴らしい出来。良い意味でエロゲ音楽ナイズされていないポップスっぽさに溢れていて、聴いていて新鮮で刺激的。「POP UP!」や「Stand alone」「Make me happy」「Etoile」あたりの軽快なギターポップ風味を感じる楽曲に、個人的にはポプシらしいさを見出していた。それでいて「佐草陽水 愛と孤独のテーマ」とか「大いなる理想の下に」「GET OUT!」「銀河宇宙大決戦」みたいないかにも!な雰囲気の曲もあり、バリエーションも思っていた以上に豊富だったりも。
一番心に残ったのは、やっぱり主人公である“うんこマン”のテーマである「UN-K.O.」かな。疾走感溢れるパワーポップで、イントロのギターが鳴るだけで物語の雰囲気をポジティブな方向に持っていってしまう超名曲。思わず走り出したくなってくるくらい。

ボーカル曲も軒並み良い出来。ポプシが歌うOP「(a)SLOW STAR」が素晴らしいのは言うまでもないが、各エトワールの専用ボーカル曲も良かったし、いとうかなこのEDはいつも通りの仕上がり。話題になった(そして自分が本作品を買う一番の切っ掛けとなった)大槻ケンヂが歌う“人生リベンジ”のテーマ曲「あくびの戦士がふぁー」は、オーケン+NARASAKIコンビの楽曲として見た場合それほど飛び抜けている訳ではないけれど、作中での使われ方が効果的でとても印象に残る。イントロ数小節を聴いただけで上条さんうんこマンの声が蘇ってきそうなくらい。
不満といえば、どうせなら三魔女のハッピーEDはその声優さんに歌わせちゃっても良かったんじゃないかなーということくらいかな。特に手塚まき。


だが、今作で一番良かったのは、作品全体に通底しているポップでキッチュなセンスかもしれない。ゲーム画面などのデザインワークとかも含めてこの方向性を徹底させていることは、ともすれば構造上バラバラなものになりがちなスマガという作品を、その雑多な雰囲気のまま纏め上げる役割を果たしていた……ような気がする。自分が今までニトロプラスに感じていた雰囲気とはちょっと違う作品だったけれど、これはこれで面白かったです。もう一回プレイしろと言われたらちょっと二の足踏むけど。
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