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『君の名残は静かに揺れて』 コンプリート

君の名残は静かに揺れて
Flyable Heart
白鷺茉百合 (mayurishirasagi) on Twitter

終了…といいつつ、実はフルセットで3周クリアしてしまった。『Flyable Heart』には「フライア」という究極の反則技があったけれど、“飛ばなかった”今回にはそういう要素は無い。なので展開にも急激な飛躍はなく、細かい描写をていねいに積み重ねて物語を織りなしていくのだけれど、それが予想していたよりもずっと良かった。茉百合と結ばれたあと白鷺家に乗り込んでいってからは学園物から館ものにジャンル変更したのか?というくらいにガラッと印象が変わるのだけれど、「次は何が起こるのだろう?」という不安感と期待感を煽るような雰囲気の出し方がしっかりしているし、「閉塞感」「家族間の愛憎」「秘められた謎」「因習・しがらみに縛られた人々」「館を“出る”ことでの解放」といった館もののお約束を何気にきっちり押さえていることも感心した。
そのあたりでいちばん好感を持ったのは、「歴史のある旧家にどうやって茉百合と晶の仲を認めさせるか」という命題に対して、全然別のところからウルトラCな解決方法を持ってきたり、晶くんが上条さんばりの大演説をして押し切っちゃいましたーみたいな展開に持っていかなかったこと。晶も茉百合も、お互いを大事に想う気持ち以外には抗しうる有効な手段を持っていないけれど、その気持ちが終始一貫してブレていなかったのは見ていて気持ちが良い。

スピンアウトということで、メインキャラの描写にも変更点がある。まず茉百合さん。今回は主観切り替えにより茉百合の内面を序盤から掘り下げて描写しており、プレイヤーレベルにおいて本編よりも彼女の心情を理解し易くなっている。ただそれによる弊害もあって、彼女がどんな心情で晶と接していたのか1が分かってしまうので、FH本編で魔百合様が初登場したときのような、不意打ちのインパクトは薄れてしまっていた。
茉百合というキャラの魅力も多少変質している。FH本編では真意が読めないブラックボックスである茉百合さんを、いかにして晶くんが陥落すのかという難攻不落のツンデレ攻略の魅力だったように思うが、今回は不幸な過去に囚われ旧家の因習・因縁に翻弄される可哀想な茉百合さんを晶くんがどうやって救い出すのかという“可哀想萌え”な方向に変わっている……ように見える。まあ、それが必ずしも悪いことかといえばそうでもないし、どっちの茉百合さんも好きだけど。

そして晶くん。常時腹ぺこという以外には特に際立った個性を持ったキャラではないというのはFHから変わらないものの、今回は行動の端々から醸し出される男前度が全体的にアップ。その振る舞いはスマートではなく泥臭いんだけれど、意志の強さと逆境にめげない逞しさが人物像にビシッと一本芯を通している。それにともな……ったのかどうかは分からないが、CGにおける顔出し比率・イケメン度合いも格段に向上。執事服が似合いすぎていて誰このナイスガイ。そりゃ茉百合さんも惚れるわ。
しかし、最大の変貌を遂げたのはなんといっても生徒会長である皇奏龍。基本はボンクラかつ飄々としたスタイルを崩さないものの、本編では天音ルートなど一部でしか見られない確変モードがことあるごとに姿を見せて誰だお前。友情と恩義(そしておそらくは愛情)に報いるため、映し鏡のもうひとりの自分が殻を破ることができるようにと心を砕くその姿はもはや第三の主人公といっても過言ではない。カッコ良すぎです会長。ぐみちゃんならずとも尊敬します。


『Flyable Heart』と比較すると画面がワイド対応となったことと、(ヘッドフォンで聴いていると分かるが)音声がキャラの立ち位置に合わせて左右に割り振られるようになっており、全体的に演出の向上が見られる。大きなアクションが少ない本作においては、このような演出の強化はとても効果的。さすがはユニゾンシフトだけあってCGはキレイだし、動作環境では告知されていないものの解像度がWUXGA(1920x1200)で収録されているのもすぐに壁紙で使えて嬉しい。ただ、FHの頃に比べて絵柄のバランスが変化した(全体的に目元が小さくなってロリ化更に進行。)ことに違和感を覚えないでもない。


攻略可能なのは(基本的に)茉百合のみで選択肢1個だけの実質一本道・スピンアウト企画なのでCGやBGMなどの素材で使い回しあり・フルプライス・アクティベーションありで中古販売不可……と費用対効果という点を気にする人はいるのかもしれないが、こまけぇこたぁいいんだよ!!(AA略)
本編のキラキラした少女漫画っぽさとは別の……初期少コミや別コミ、flowers系統の少女漫画っぽいアプローチであまりエロゲっぽさは感じないものの、茉百合さんを堪能するためのスピンアウト企画としてはこれ以上ないくらいに良く出来ていたと思う。スペシャルな何かがあるという訳でもないのだが、プレイ後の満足度・充実感はえらく高かった。満足です。

で、予告があった『Flyable Heart』本編のファンディスクが出るのはいつになるんでしょうか(笑)

(以下、『君の名残は静かに揺れて』のネタバレを含みます。閲覧注意)








今回は茉百合様一本かと思っていたら、小百合さんという伏兵が来るとは思いませんでしたよ、ええ。茉百合のテーマである「Caravan」と対になっている新曲の「Kreuz und Paradies」がまあハマってるったらありゃしない。晶くんと初めて夜に出逢った時の振り向きCGと、EDで茉百合さんを慈しみの表情で撫でているCGは反則的なまでに良かったですわ。
プレイしてる最中は白鷺家はイヤな奴ばっかだと思っていたけど、最終的にはふわふわロリ以外はどいつも憎みきれない良い奴でしたというのは落し所としては卑怯だよな。特に巴ばーさん。あの過去エピソードは反則だろう(笑)。

主題歌の「Solitude」と「君の名残は静かに揺れて」はkiyoの歌声と曲調・歌詞とが絶妙にマッチしていてとても気に入った。メロディラインや一部の歌詞は共通だけれど、そこにのせられた小百合さんの感情がオープニング(Solitude)では哀しみと痛みを帯びており、エンディング(君の名残は静かに揺れて)では慈しみと愛情に満ちているというのは、ゲーム本編の内容とあわせて強く感情移入をしてしまうとても上手い演出。今まで聴いたことがあるkiyoのボーカル曲のなかでは(多分にゲーム補正が入っているとは思うが)この2曲が一番好きで、現在大絶賛ヘビロテ中。というか、きみなごコンプ→主題歌を無限リピート→きみなご再プレイのループにハマった結果が連続で3周プレイだよ!
であるがゆえに、ソフマップの特典サントラには「Solitude」のショートしか収録されていなかったことには心底ガッカリした。ゲームから抽出したOgg音源はVBR128kだしさあ。この後に出るであろうFH本編のファンディスクにサントラがリリースされるなら、是非そちらで収録してほしいものだ。

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