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Dies irae ドラマCD 『Dies irae ~Verfaulen segen~』

Dies irae ~Verfaulen segen~

『Dies irae ~Acta est Fabula~』のフルサイズのドラマCD第3弾。本編序盤のアナザーサイドを描いた『Wehrwolf』、60年前の聖槍十三騎士団創設時の事件(およびそれにより生まれた因縁の数々)が開陳された『Die Morgendammerung』に続く今回は、本編が開始する2006年の時点で欠番となっている櫻井戒(黒円卓暫定2位)とベアトリス・キルヒアイゼン(黒円卓第5位)を主軸に据えて、11年前に起こった聖槍十三騎士団と東方正教会「双頭鷲(ドッペル・アドラー)」との戦いが描かれる2枚組の大作となった。

(以下、『Dies irae ~Verfaulen segen~』および『Dies irae ~Acta est Fabula~』本編のネタバレを含みます。閲覧注意)











まあアレだ。黎明(Die Morgendammerung)のときは、すでに07年版が発売されていてある程度アウトラインが定まっているキャラを出して賑やかせといて最終的に獣と蛇との邂逅の場を整えてあげればそれで良かったから、CD1枚の分量でも不足だとは感じなかった。でも今回はベースが存在する「騎士団残留組のさらなる描写」以外にも、本編では殆ど出ていなかった「戒・ベアトリスの掘り下げ」と今回がほぼ初出の「11年前の事件のストーリー」「双頭鷲の面々の描写」を描かないといけないわけで、それだけの内容を描き切るにはCD2枚分でも尺が足りない。ぜんっぜん食い足りません。「感じさせてもらおうぜ……まだ始まったばかりじゃねえか」と口に出したと思ったらすぐ終わっちゃって非モテのベイ中尉も涙目ですよええ。

というかそもそも、敵役である双頭鷲の連中がちょっと不甲斐ない。いかにも大仰に登場して一発逆転の秘策がありそうだ!と思わせぶりな雰囲気だったのに、いざ愛しの怨敵と対峙したらどいつもこいつもわりとあっさりやられてしまったことには正直拍子抜け。まだ粘れたのはアルフレートくらいだが、相手方のベアトリスがドラマCDを通じてえらくヘタレてしまった「戦乙女(笑)」扱いだったので、それ相手に善戦したとしても強そうという印象にはなりにくい。双頭鷲は呼応する騎士団残存組のキャラ性を掘り下げるための舞台装置としての配役であり、ガッツリと手応えがあったりすると騎士団員が“誇張ではない一騎当千”であり“聖遺物の遣い手以外には抗しえない”という本編の描写と矛盾しちゃうのは分かるんだが……

それからこれは音の演出のみに頼らなければならないドラマCDという媒体の宿痾ではあるが、随所に挿入する戦闘パートが盛り上がりに欠ける。ディエスという作品はバトルの肉体的描写よりはエッジの立った会話の応酬のほうが比重が多いけれど、それでも剣戟の音や銃声、効果音とキャラの喋りだけではさすがに間が持たない。Die Morgendammerungにおけるラインハルト閣下はその描写の少なさ・し難さを逆手に取って、言葉少なに一蹴してみせることで他の団員候補との圧倒的な力量の差を演出していたが、今回はそうは行かない。すでに規格外の"五色"の存在を知っていることもあるのだろうが、強者側である十三騎士団の残存組に対しては「超人揃いの騎士団強ぇ!」という驚きよりは「え?もうこれで終わり?双頭鷲弱すぎ…」という肩透かし感のほうが先に立ってしまうのが残念だ。
さらに、創造位階における祝詞の詠唱はゲーム本編の戦闘シーンではガッツリ盛り上がる必殺の場面だったが、ドラマCDでそれをやると耳からくる情報だけを待っていなければならず冗長に感じてしまうためか軒並みカットされてしまっている。ちゃんと詠唱されているのは双頭鷲が防御力無視の術式を繰り出すところくらいだが、当然ながら今回が初出なのでどういう方術でどういう光景なのかが台詞と効果音だけでは分からずイマイチ盛り上がらない。戒の創造位階の詳細な内容や詠唱などはきっと今回明かされるんだろうなあと期待していたのにそうはならなかったのもガッカリ感を助長する。


……と、本筋の「11年前の事件の真相」を語るドラマ部分としては、結末が既に分かっているお話だからということもあり、そう特筆すべき事柄があるわけではない。だが、だからといって聴く価値がないかと言われれば然に非ず。本編に登場したキャラクターのさらなる掘り下げという点においては文句の付けようがないくらいに素晴らしい。随所に本編の内容と呼応している箇所が見受けられるので、ファーブラ本編をプレイして本作の世界観に愛着を抱いている人間であれば逐一反応してしまうこと間違いなし。最後の最後にbeforestory01に繋げるあたり極めつきにベタではあるものの、07年版から追い掛けてきた人間としてはやっとここに繋がったのか!とある種の感慨があった。

以下、キャラ別の雑感。


・ベアトリス・ヴァルトルート・フォン・キルヒアイゼン

今回の主人公その1、まさか60年経っても「青春ど真ん中の16歳ですっ☆」と制服を着るハメなるとは夢にも思わなかったであろう閃光の戦乙女。ツキガクの制服姿はすげーコスプレ風俗っぽくて似合ってないですはい。今回は(∪^ω^)わんわんお!な本性はめっきり影を潜めて、心に宿した想いを守るために奔走する高潔な騎士の姿が存分に拝めます。だが、必死さは伝わるもののその目論見は(プレイヤー側からしてみれば)近視眼的で読みが甘いと言わざるをえない。聖餐杯の仕掛ける罠が悪辣すぎるということもあるのだろうけれど、“大局を見誤った愚かな女”だの“馬鹿で愚かで青い小娘”とフルボッコにされても仕方がないなあと思わされてしまう。そのため主役ではあるものの螢ルートでの活躍のような凛々しい格好良さはなく、否応が為しに動き続ける状況に翻弄される悲劇のヒロインという印象の方が強い。
というか、最初から戒と協力して事に当たれば、城に上がった大隊長以上はともかく騎士団の残存組くらいは軽く壊滅させられたような気がしないでもないな。だがベアトリスの望みは「螢だけではなく戒も救いたい。戒が腐れ落ちる前に事を済ませたい」で戒の望みは「螢もベアトリスも大事だから、彼女らに穢れが降り注ぐくらいなら自分で引き受けたい」だから、互いを思ってはいてもやはり一緒に動くことは出来なかったのだろうけれど。

・櫻井戒

今回の主人公その2、今回ようやくその素顔のヴェールが剥がされた最低の屑兄さん。長身イケメン甘い声、主夫で料理が上手くて天然ジゴロな言動なのにそれがあまりに自然体で嫌味に感じない……ってなにこの完璧超人。そりゃー正田も僻むわ。序盤のツキガクでの学生ライフがあまりにも勝ち組オーラ漂わせまくりで、そりゃ螢が重度のシスコンになったのもさもありなん。ゲームがゲームならベアトリスと螢が戒を取り合った挙句3Pに持ち込まれてダブルフェラ(声はどっちもかわしまりの)で昇天させられても仕方がないレベル。
その渇望が“大事な人を汚したくないから自らがすべての穢れを引き受けて腐れ落ちる”というものだというのは、確かにある種の自分勝手さを伴った最低の物ではあるけれど、内罰的で感情を裡に溜め込む気質に見える戒というキャラクターには合っているのだろう。鏡花と対峙したシーンで創造を発動して毒化するあたりでその声色が静かに沈んでいくところとか、ヴィルヘルムを歯牙にも掛けず鎧袖一触するシーンところの演技がとてもカッコ良くて、本編でもこのイケメンボイスをもっと堪能したかったなあと残念に思ったりもした。
ドラマCDラストのベアトリスへの愛の告白は、あまりにもベタな演出ではあるものの、それが螢ルートを経て玲愛ルート後の“女神の抱擁”の世界に繋がるのかと思うとやっぱりウルッと来るな。ああもう……やっぱりカール・クラフト死ね。

・氷室玲愛

「O Tannenbaum」を口ずさむロリ玲愛が可愛すぎて生きているのが辛い。口を開けば11年後同様にダウナーなテンションなのに、歌声だけは年齢相応のたどたどしさなのが可愛くて愛おしくてもう限界(中の人の演技が…とかそういうことは考えない方向でひとつ)。ロリ玲愛とロリ螢にビジュアルイメージが無いのは全世界的な損失だろう常識的に考えて。てーか、天然かつ辛辣な性格はその背負った宿命の重さを無自覚のうちに理解してしまったが故の後天的なものだと思っていたけれど、完全に先天的なものだったのか……。
もみの木の童謡を玲愛に教えたのはリザで、その傍らにはトリファの姿もあったのかもしれない。その仮初めの家族のせつなすぎる情景を想像すると泣きたくなってくるのは俺だけではないと信じたい。

・櫻井螢

「カッコいいんだよ?」「強いんだよ?」とか言い出したり、言い負かされてムキになって竹刀をぶん回したりするロリ螢が可愛すぎてもうだめ。現代のシャープなビジュアルからすれば冗談のようにぽわぽわした雰囲気の子供だけれど、ロリ玲愛に可哀相な子扱いされ頭の心配をされてしまうところで「ああやっぱりアホタルだわこいつ」と納得。考えてみりゃ11年後になっても一度タガが外れたら「私、頑張ったもん」とか一気に幼児化するしなあ。
この時点では「ベアトリスはキレイ」とか「戒の親子丼が美味しいの」なんて無邪気に笑っているアホの子だけど、このドラマCDの終了後に彼女が辿るであろう境遇を考えると胸が痛む。神父様マジ外道。

・霧咲鏡花

happy light cafeのパーソナリティである水霧けいとがキャスティングされたことで、正直かなりゲンナリした。この手の番組絡みの配役が嫌いなこととhlcでの水霧が空気が読めないイラッ☆と来る天然ボンクラキャラだったもので。だが蓋を開けてみたら、予想してたよりも演技が良い。ハイテンションな賑やかしだけでなく、後半の戦闘シーンでも感情がガッツリ篭もった迫真の演技で評価を改めた。やっぱり声優の善し悪しの判断は演技だけですべきだな。深く反省。
基本くらーい雰囲気が支配するこのドラマCDにおいて、序盤の学園ラブコメチックな展開をひとりで引っ張った貴重なキャラ。ベアトリスと戒じゃそこで完結してしまって話が膨らんでいかないから、彼(彼女)らの新しい一面を見せてくれたというだけでも良い仕事をしたと言って良いだろう。戦闘においては完全にザコ扱いだったけど、何気に戒(カイン)は現騎士団トップクラスの戦力だから仕方ないか。
たぶん彼女も(語られなかっただけで)何か重い業を背負っていたキャラだったのだろうが、はからずも戒の手によってそれから解放された彼女はその後どうなったのだろう……と思いを馳せると、同日発売の「Zwei Wirklichkeit」でちょっとニヤリとするのは小粋な演出。“あちらの世界”での戒と鏡花の遣り取りもちょっと見てみたかったな。恋愛感情はおいておいても、適度に凸凹な心地よい関係だったんじゃないかなあと妄想していたり。

・ジークリンデ・エーベルヴァイン

ゴスっぽい黒ロリータにミズハス巻乃あげはさんの声が乗っかるというだけで反則なキャラ。やっぱり(´し_` )さんはエロ演技させなければ最強だぜ。
今回の一連の流れにおいて、首魁である彼女が何を目論んでいたのかいま今ひとつハッキリとしない。彼女は今回の戦いにおいて双頭鷲が黒円卓を制しうるとは考えていなかったようだが、劇中でシュピーネが看破していたように「殺されることが目的」という意図が自死衝動によるものでなかったとすれば、では何が彼女にとっての勝利条件だったのだろうか。
そもそも騎士団封じの術式に使ったマテリアルがマルグリットの断頭台(=聖遺物・「罪姫・正義の柱」=マリィ)であることから、今回の仕掛けにもメルクリウスの見えざる手が伸びていることはほぼ間違いないはず。ジークリンデは未来視などの異能があるから蛇の介入にある程度は気付いていたのだろうが、どう足掻いても太刀打ち出来ない“怪物”であると認識している彼を相手取ってどのような仕込みをしていたのか? ベアトリスと戒(カイン)を堕として、11年後の本格開戦時に戦局を変動させうる不確定要素として仕込むことか? 残存組の渇望に綻びをもたらす切っ掛けとなりうる楔を深層意識に打ち込むことか? それらが“邪な聖者”ヴァレリア・トリファの宿業を刺激し、11年後に騎士団が内部分裂から崩壊する因子となり、蛇の巧妙な差し手に揺さぶりを掛け、失着手を繰り返させ、玲愛ルートのように致命的な盤面にもつれ込ませる所まで意図していたのだろうか?
正直、上に挙げた全てを読み切ることはメルクリウスでも難しいだろうし、ジークリンデがそこまで辿り着けていたとは考えがたい。だがBefore Storyでは“この日を境に何かが狂いだした”とあるとおり、自らを生贄に差し出して毒を食らわせることで蛇と獣を弑そうとするジークリンデの目論見は一定の結果を出していたと見るべきだろう。だとするとどこまでが……と疑問は尽きない。ほんとこの辺、VFBなりSSなりFDなりで補完してほしいんだけどなあ。

・アルフレート・デア・フォーゲルヴァイデ

ベアトリスの幼馴染みで黒ロリキャラに傅く執事で達人クラスの剣術の使い手、反則クラスに渋い無能大佐「小次郎」氏の声…となにげに属性てんこもりの素敵な爺さん。道を違えてしまったベアトリスを許せないなどと語るところには、「老いすら楽しむもの」と語っていたHELLSINGのウォルター老なんかを思い出したりもする。
60年前のドイツ、黒円卓加入前のベアトリスと繋がりがある人物なんだからエレオノーレなんかとも絡ませる余地があったと思うんだがその辺は一切無かったのが残念。変態揃いの双頭鷲の中ではまだ真っ当な精神を保っているけれど、報われなさという点においてはやっぱり他と変わらんなあ。つーか「Zwei Wirklichkeit」において、やっぱりベアトリスには鼻にも引っかけて貰えなかったことが判明。アルフレートェ…

・フォルカー・バルリング

変態!変態!変態!
いやこれは反則だろう。変態の演技に定評があるProf.紫龍さんだけあって素晴らしすぎる仕上がり。ルサルカに一方的にキモい好意を叩き付けてドン引きされる“恋する変態はせつなくてアンナちゃんを想うとすぐ勃起しちゃうの”な遣り取りはその真骨頂。なまじ序盤で防御力無視の術式を詠唱しているあたりはカッコ良かったのでよけいにその落差が酷い。フォルカー→ルサルカ→ロートスという片想いストーカー目線の流れがあることは、本編玲愛ルートの展開を知ってるとニヤリと笑える。
しかしこれはジェーンにも言えることだけれど、どうやってルサルカの裡に秘めた渇望を知ったのかというのはちょいと疑問。順当に考えれば読心能力を持つジークリンデが読み解いて教えたのだろうけれど、最後のほうでいきなりそれについて言及されたので(本編を既にプレイしていてルサルカの渇望について理解をしていても)なんか唐突だなあという感想を持ったりした。

・ジェーン・ドゥ

淑女(レディ)でビッチでヤンデレで不死のババアといういかにも正田が好きそうな設定のキャラ。情が強いお姉様系キャラに一色ヒカルというのは典型といえば典型ではあるものの、当て書きじゃないかと思うくらいにハマりすぎて怖いくらいだ。ディエスは声優陣の演技レベルが激烈に高いので並大抵の演技じゃ驚かないんだけれど、それでもヴィルヘルムと相対したときの演技には鳥肌がぞわぞわと。やっぱり最強クラスに上手いよなあピカリン。
つーか脳筋のヴィルヘルムにすら変態だのと罵られるなんて、あらためて考えるとジェーンさんかなりの逸材。元CIAだの櫻井鈴(二代目カイン)とベトナムで接敵していたという設定は美味しかったけれど、それを掘り下げきれていないのは残念だ。次回作で遊女キャラとかで再登場してくれないもんかね。

・ヴァレリア・トリファ

満場一致で死ねと罵られるメルクリウス(カール・クラフト)が表に出てこない今回の、問答無用で諸悪の根源。今回は前史ということもありその歪んだ聖道に綻びが入るような要素は皆無。徹頭徹尾陰険かつ悪辣、冷酷非道な聖槍十三騎士団の首領代行としての任を全うしております。そうだよなー、本編やってると同情しちゃうエピソードが多くて忘れそうになるけど、実際やってることはかなりの腐れ外道だったんだよなあコイツ。
ベアトリスの性格を見切って後の自分の目的に害を為すと判断したら、櫻井兄妹という格好のエサをあてがい、その心に綻びが生まれるように誘導。双頭鷲が攻めてきてこれで悲願が達成出来ると息巻くベアトリスを「黄金錬成を始める?またまたご冗談を(AA略)」と軽くあしらい、返す言葉で自らが生み出した戦場で戦乙女(笑)として十二分に暴れろとけしかけ、ロリ螢を人質として戒をベアトリスと相打つように仕向け……ほんと巧妙すぎてタチが悪いな。そりゃー本編でカインも聖餐杯の名前を聞くだけで怒気を発するようになるわ。粘つくような厭らしく胡散臭い声色から、その底知れぬ屈折した狂気が滲み出るかのようで思わず総毛立つ。青島刃さんはほんといい仕事するわ。

・ヴィルヘルム・エーレンブルグ

ヤンデレには付きまとわれ惚れた女には袖にされイケメンには一撃で吹っ飛ばされ……と散々やられまくってる輝ける非モテの星ことベイ中尉。発売前に公開された人気投票用の正田コメントで“非モテ”と煽られラジオでは「一番不憫」と語られていたが、実際今回は何も良いところが無かったので反論しようがないんだよなー。まあヴィルヘルムは本編でかなり優遇されていたから、たまにはこういうのもいいんじゃないか。

・ルサルカ・シュヴェーゲリン

初っ端から上機嫌で軍歌を歌い上げたり、「10回、20回突っ込ませてあげたくらいで~」などとビッチ発言を連発したり、全てを絡め取り沈め落とす“水底の魔女”としての本性をあらわしたりとえらく大活躍なアンナちゃん。
再会したフォルカーの熱視線に「ストーカーに会った時みたいな」危険シグナルを感じ取ったり「なんで私って昔から男運が悪いのか」と愚痴るくだりは、玲愛ルートや「Zwei Wirklichkeit」などの内容を知っていれば大爆笑もの。美味しいポジションすぎるわ。

・ロート・シュピーネ

今回もっとも光り輝いていた文句無しのMVPは彼だろう。もう誰も形成(笑)などとは言えない言わせない。さんをつけろよデコ助野郎!
ゲーム本編では本格開戦前にあっさりと蓮に屠られてしまうネタ要素の強いザコキャラでしかなかったが、本格的にキャラの掘り下げが行われた今回のドラマCDでの我らがシュピーネさんはひと味違う。自らが弱く臆病な凡人であることを正しく理解し、彼我の力量を冷静に判断し分析し、先んじて適切な対応を取れるという参謀キャラに変貌を遂げていたとは誰も予想していなかったに違いない。自らが弱く臆病だからこそ全ての攻撃を避けてしまうのだというくだりは思わずなるほど!と膝を打った。
今回の戦局においてはトリファ神父・ジークリンデに次ぐその洞察力で双頭鷲の意図するところを看破したり、(表の世界とのコネクションを利用した)諜報活動能力を最大限に活用して霧咲鏡花の正体を先んじて把握していたり、双頭鷲のザコを相手取ってあっさり無双することで、本編では分かりにくい「聖遺物を所持した聖槍十三騎士団は、単騎でも比類無き一騎当千である」ということを証明したりと獅子奮迅の大活躍。なまじクレバーで頭が切れるキャラであるがゆえに、14歳チックな厨二病的妄想を創造位階に到達できるほどに拗らせることが出来なかったのかもしれん。まあ、そうなると本編でのあの醜態はなんなのよってことになるんで、多分に後付け設定ではあるんだろうけど。
シュピーネさんのボイスは2年ぶりの新録だったが、三川春人さんのちょっと鼻に掛かった声はすっげえ特徴的。「蜘蛛の巣に…案内して差し上げます」とか「アウフ・ヴィーターゼン、マ~レウス!」なんて台詞の独特のイントネーションはクセになる。頻繁に登場したらウザく感じそうだから、今回くらいの出番で丁度良いのかもしれんけど。

・リザ・ブレンナー

そりゃー11年前はカインが戦力として使えないし位階も形成止まりだから役立たずかもしれませんが、ぶっちゃけもうちょっと焦点があたってもバチあたらないんじゃないかと思うんですけどねその辺どうなんですか正田さん。彩世ゆうに恨みでもあるんですかど畜生。
本編ではそれほど深く語られなかったベアトリスとの関係や、すべてが終わった後でベアトリスと戒を“何を想って”“どのように処置したのか”ということは是非とも詳細に描写して欲しかった部分だったので残念。このドラマCDはベアトリスと戒の悲恋の物語として描かれているから、そのあたりを描写するのは余韻台無しというのは理解出来るんだが、ファーブラ本編を補完するサブアイテムとしてはそのあたりをこそ掘り下げて欲しかった。ただ、ジークリンデの来訪を受けパニックに陥ってしまった玲愛の姿を見てリザが独りごちるところは、その逡巡が玲愛ルートでの決意のシーンに繋がっているのかと印象深い。



というわけで、本編を追補する番外編としてならば、見所も多くて良いドラマCDだった。ここまで本格的なものにするならばどうせならファンディスクのようなゲームの体裁でリリースした方が、上で問題点として挙げた戦闘シーンが臨場感に欠ける問題なんかも解消されて良かったのだが、贅沢を言ったらきりがないか。

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コメント

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どうも、感想読ませていただきました。
イマイチ盛り上がりに欠けてしまったのは、やっぱり三騎士と双首領が登場しなかったからではないですかね。
話の構成上仕方ないこととはいえ、話は面白かったけど盛り上がりに欠けてしまう点は、香純ルートに通ずる気がしました。

まあ、結局何が言いたいかと申しますと、やっぱりラストは愛の告白ではなく、ニートの高笑いで締めるべきだったと(ry

Re: タイトルなし

コメントありがとうございます。

圧倒的な強さというのを体現する存在が無かったというのも、盛り上がりに欠ける理由のひとつかもしれません。
でもそうなると我らがシュピーネ様が活躍できないというジレンマが。

ニート高笑いオチも面白そうではありますが、本当にやられてたらキレてましたね(笑)
やっぱりカール・クラフト死ねはDies irae唯一の真理です。

こんにちは、浦木裕です。
日本語聞き分けの悪い私には、こういう感想が聞き漏れた情報を補足するに大変役に立つものです。ありがとうございます。

櫻井戒=優等生=イケメン=Gユウスケでヴィルヘルム=チンピラ=非モテ=正田崇という図式が私の中にあります。(汗)

ドラマCDとして決して悪くないのですが、すでに本編で述べた事を一部省略して、たぶん本編を見ない人にはうなく消化できないではありませんか...

双頭鷲の扱いはアレですが、それ以上「私はあまり人に負けたことがない」と言っていた本編の螢は何処に行っちゃったのかな...其れは相手が悪いと信じたい...


いっそのこと、FDでやってくれと叫びたいところです。


Re: タイトルなし

ドラマCDは、07年版発売以降に出たものは本編プレイが前提みたいな構成ですね。
怒りの日通過組ならともかく、初見のユーザーにはちょっと敷居が高くないかと思うことはあります。
とはいえ、ドラマCDは元々FD的な要素が強いものですから
本編をプレイしていないユーザーに配慮する必要性は薄いかもしれません。
FDは天狗道の新作が出た後の2012年くらいに出れば御の字かなと(苦笑)