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北の国から(もう北じゃないけど)

前のエントリではああ書いたけど、大槻涼樹氏(Lost Script)の連載コラム「新・北の国から」が続く限りはPCエンジェルを買い続けるだろうな。あぼぱ在籍時代の1998年5月号から、一時中断を挟んで10年近く続いている長寿コラム(おそらく業界最長)だけど、ソフ倫や大手メーカーを茶化したネタあり(確か茶化しすぎてLeafあたりに怒られたんじゃなかったっけ)、エロゲ業界ひいてはオタ業界を題材にした大久保エロゲデザイナー学院ネタあり、ワンアイデアのショートストーリーありとバラエティに富んでおり、しかも毎回毎回面白い。
月イチで大槻所長のウィットとペーソスに溢れる素敵コラムが読めると思えば、800円はむしろ安い。なんせ俺はテスタメント・スフィア(と、ヒラコーの連載)のためだけに月1000円払ってゲーマガ買ってるくらいだ。

また、このコラムは所長がゲーム製作の合間に溜め込んだ研究資料やネタの実験的アウトプットの場として機能している(と推測される)側面もある。たとえば、98年12月号に掲載された「終末の過ごし方」というタイトルのコラムが数ヶ月後に『終末の過ごし方』としてゲームになったり、『蠅声の王』における太陽光に対して吸血鬼が受ける影響のプロセスなんかも発売以前のコラムで既にネタにされてたいたりと、自分のような『黒の断章』(PC-98版)以来の大槻涼樹ウォッチャーにとっては色々と美味しい。


そんな所長の最新作である『蠅声の王 シナリオII』だけど、これはちょっと不満が残る出来だった。

・全体的なボリューム感が減った。ダンジョンの(体感的)規模も小さく、分岐も少ない。
・マガトやクリスの立ち位置も含めて、敵キャラクターとの間に緊張感が足りない。
・ゆえにバトルが盛り上がらない(特にラストバトル)。難易度も前作のウルリーカ様より格段にヌルい。
・声優のキャスティングが微妙。しかもパートボイス(金銭的な問題?)
・塗りの雰囲気が変わった。主線のラインが細くなり、CG全体のインパクトが薄くなっている。
 くない瓜さんが抜けて、実質的制作をTOPCATが担っている影響があるのかもしれない。

随所に溢れる大槻節満載の諧謔なり蘊蓄なりは最高なんだけど、それも大本の面白さありきの話だろう。発売前から種々の「大人の事情」が透けて見えていたので不安だったんだけど……残念。

でも、次の新作も絶対に買う。大槻所長の創作物に相対する姿勢は大好きなので、また面白い作品を俺たちに届けて欲しい。
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