fc2ブログ

Dies irae ドラマトラック 『~1945・完全版~』

Amazon.co.jp: Dies irae ~Also sprach Zarathustra~ Einsatz: ソフトウェア

怒りの日が巻き起こった後の08年1月にリリースされた、榊原ゆいが歌う主題歌「Einsatz」のマキシシングル。イメージソング「Shade And Darkness」と共に、最初のドラマCD『Wehrwolf』のボーナストラックとしてWebサイトからダウンロード可能なドラマトラック「ボーナストラック ~1945~」の“完全版”が収録されている。今回はボーカル曲について述べることは避け、ドラマパートについてのみ言及することにする。

(以下、ドラマCDパート『1945(同・完全版)』のネタバレを含みます。閲覧注意)




ベルリン陥落時――作中の役割でいえばベルリンのスワスチカが完成して“城”が永久展開した時。赤軍に蹂躙される市街の惨劇を横目に見ながら「自分が表舞台で働いても面白くないし、やっぱり引き籠もりたい。獣殿に御願いしてこなくちゃ」とか考えるメルクリウスの語りから始まる。

次いで、騎士団の面々に「八箇所の拠点を聖遺物で破壊し、同胞を殺害してスワスチカを完成させろ」と檄を飛ばし演説するエレオノーレ。演説の中に「怒りの日は彼の日なり」だの「存分に狂い、乱れろ。戦は今宵幕を開ける」だのというラインハルトが用いたフレーズが混じっているあたりは、新装版をプレイしてから聴き直すとニヤニヤ笑いをするところだ。
ただ、おそらくは07年の最初期に録音したからだと思われるが、エレオノーレの声に迫力が決定的に足りない。ドスが効いておらず時々声が裏返ってしまっている箇所もある。『Die Morgendammerung』以降の風格と貫禄を兼ね揃えたザミエル卿の勇姿を知ってしまっているとぶっちゃけ物足りないですわ。

そして最後は「60年経ったらシャンバラの環境が整ってメルの代替(ツァラトゥストラ=蓮)が機能するからそれまで待っててね」「退屈させるのも忍びないから一度死んでみるのも面白いかもよ? 三騎士も道連れにすればいいし」「寂しいから乾杯くらい付き合えよ我が友」という本編プロローグでのラインハルトとメルクリウスの対話の描写を広げたもの。
ラインハルトは基本ラインが変わらず安定しているけれど、メルクリウスの語りは『Die Morgendammerung』以降の変態チックな厭らしさが足りず、もっと超然としているのが今にしてみれば新鮮だ。……と思ったが「故に理解しろ、ツァラトゥストラ。君の生も死も、愛も怒りも喜びも悲しみも、血も涙も何もかも。すべて私と彼のためだけにあるのだということを。忘れるな。思い出せ。君に意志など有りはしない。何故ならその身は、私にとって究極の――」という最後の独白は十分にイヤらしくてムカつくな。


ドラマトラックは“完全版”と銘打ってはいるものの、内容はほとんど変わらないので目当てにして買う価値はない。「Einsatz」のフルコーラスならばサウンドトラックにも収録されているし、半裸の練炭&司狼のジャケットにハァハァしたいとかじゃなければ『Wehrwolf』を選んだほうが賢明だろう。

スポンサーサイト



コメント

非公開コメント