『春季限定ポコ・ア・ポコ!』 コンプリート

春季限定ポコ・ア・ポコ!|ALcot ハニカム
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『春季限定ポコ・ア・ポコ!』 カウントダウンムービー"まとめ" ‐ ニコニコ動画(原宿)


『リアル妹がいる大泉くんのばあい』『キッキングホース★ラプソディ』に続く“ハニカム文庫”の三作目(旧シトラスの宮蔵プロデュースな低価格タイトル『死神の接吻は別離の味』を含めれば四作目)。キャラ数を絞って人間関係の密度を上げることで、プレイ時のボリューム感を高める設計にしているのは過去作と同様。実績が弱いライターということで気にしていたシナリオ部分についても、文章運びには余計なクセもなく読みやすいし、掛け合いのテンポ感も悪くない。システム上の細かい画面演出は下手なフルプライスタイトル以上に頑張っているし、ワイド解像度対応になって立ち絵演出の迫力が増しており視覚的な楽しさも強い。(システムといえば、既読メッセージのバックログで地点を指定すると“シーンごと”巻き戻ることが出来るのがオッ!と思ったらEDスタッフロール見たら安心の合資会社ワムソフトの名前があってなるほど納得)
道具立てやテーマ設定がプレーンでアクが少ない分、キャラの魅力とそれを支える声優の演技の占める比重は高い。まずインパクトがあるのは、駄目妹っぷりを十二分に発揮している残念美少女な藍。原画がタコ焼き氏でかなり極まった残念なシスコンっぷりというところにはリアル妹の残影が仄見えますな。つか、所々で聴ける低音が効いたダミ声がどうにも白井黒子(しかも変態淑女の度合いがアップした超電磁砲のほう)を思い出してしまって困ったわ。そして藍とは別ベクトルで残念なのが天才肌でつかみ所がないトリックスター体質の桜。藤咲ウサの脱力しまくりな演技とここぞとばかりの半目ドヤ顔はマジでイラッ☆とくるわ(誉め言葉)。そんなふたりと比べると、夏海は一見するとベタなツンデレキャラのテンプレ通りのように見えるかもしれないが、そんな彼女の魅力は個別ルートに入ってからが真髄。長年秘めていた想いが叶えられた嬉しさのあまりにひとり悶え狂う姿がもう可愛くて可愛くて何度もリピートしてしまった。さすがの悠木姉妹クオリティー。アチ恋なんかもそうだけど、こういう突き抜け方をした時の五行なずなの演技の破壊力・突破力はとても素晴らしいよね、ほんと。

今回前面に押し出されている“青春”“青さ”“若さ”というテーマは調理方法が難しく、実際本作でもちょこちょこと首を傾げる箇所があった。無茶な局面を打破するための推進剤が登場人物(主に主人公)の精神的な未熟さ・若さに依っているのはどうなのかとツッコミを入れたくもなる。だが、そういう青さがあってこその青春だという言い方も出来るので、一概に否定しきれない。“青春”というテーマ設定は、ある一定のシチュエーションを切り取って短い尺で密度を濃く描いた方がその空気感を表現し易いはずだが(他ジャンルの小説や漫画とかでも短編の方が破綻してボロが出にくいよね)本作ではその意図は一定レベルで成功していたとは思う。

エロ成分が過去作と比較すると明らかに物足りないところは本作で一番残念な点だった。それはテキスト描写の薄さもさることながら、キャラの性向に根ざしたエロじゃない=凡庸なシチュエーションの普通のエロシーンに落ち着いてしまっているところが大きいのかなと思う。ていうかあんなにエロス溢れるウェイトレス姿の桜の脇コキシチュが無かったのは納得できねー。おるごぅる女史の生き霊はそういうエロシチュの拘り部分にこそ宿るべきだっただろう猛省しろ。過去作が結構ツボを突いてくるエロシチュが多く実用性が高かっただけに落胆の度合いも尚更。


良くも悪くもクセがないフラットな作風なので、過去作と比較した時に、おるごぅる(残念な妹)と保住圭(いちゃラブ)という「得意な作風が確立され、既にある程度の実績と評価を得ている」ライターに比べると今回担当の瀬尾順はその辺りのインパクトが弱い。そのため、いまひとつ歯ごたえに欠けるなあ、なにが強いアクセントになるものが欲しかったなぁと思ってしまうものの、全体的なバランスとしては悪くない……というかかなり良く、価格以上の価値は確実にあった。過去作とはちょっと違った方向性の作風でありながらも、基底となる部分の統一感は同じ匂いを感じるあたりは宮蔵プロデュースのラインのパッケージングの上手さが窺えるというもの。エピローグでタイトルバックを変化させることで「終わりよければすべて良し」的な爽やかな読了感を醸成させる演出はもはやハニカム文庫のお家芸。
おるごぅると保住圭だけだったら「ライター人気におんぶにだっこ」と揶揄されても仕方がなかっただろうが、既存作品で特段の実績がある訳ではない書き手を起用して(本作の内容を見る限り、今回の瀬尾順さんは地力はある人だと思うが)ここまでの作品に仕立て上げてくるあたり、宮蔵プロデュース作品の今までの好評価はフェイクやフロックではなく実力によるものだったと証明されたのではないだろうか。“ハニカム文庫”のレーベルイメージは本作で確固たるものになったと言えるだろう。当然ハニカム文庫レーベルの次回作にも期待しているのだけど、個人的な願望としては、今までのノウハウを生かして、メッセージ性の強いシナリオライターが描くコンパクトに纏まったストーリーものが見てみたいなぁと思ったりしている。

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『Hyper→Highspeed→Genius』 コンプリート

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広報展開の最初期にイベントで公開されたHyper→Highspeed→Genius ティザームービーがいきなりエルシャダイのパロディだったり公式配信の実況プレイ風動画が無法地帯だったり、黄色を基調としたわりとエッジなサイトデザインだったり、そもそも原画家が外注のミヤスリサとユキヲだったりと、そつが無い優等生的な作りをするういんどみるらしくないタイトルだなぁと思っていた今作。

主人公である久司朗は、自らの知恵を武器に世界に対して戦いを挑む野心家ということでは夜神月@デスノートやルルーシュ@コードギアスを、自らの目的の為に戦略的に女性キャラを攻略せんとする意志は桂馬@神のみぞ知るセカイあたりを彷彿とさせるような、あまりエロゲでは見かけないタイプの性格付けだったので、プレイ前はかなり期待していた。
が、実際にプレイしてみると、すぐにテンパるし、打たれ弱いし、自らの恋愛感情に振り回されるし、情にほだされるしといった具合の、悪党を気取りきれない好青年だったというオチ。自らの知能ですべてを動かしてやるぜ!キリッ!というイメージが強いのに、実際は自ら動くことが多いので参謀キャラという印象も薄い。しかし、キャラの魅力を前面に押し出すADVの主人公として考えるならば、このキャラ立てで正解だったのだろうなとも思う。あまりに自らの目的意識が勝ちすぎてしまっていてはキャラ攻略の際にプレイヤーが罪悪感を覚えてしまっていただろうし。主人公の冷徹・明晰な立ち居振る舞いを楽しむというよりは、必死でカッコつけようとするけど上手くいかない三の線の主人公を、作中ヒロイン達と一緒にニヨニヨしながら愛でるというのが正しいような気がする。どんな萌えキャラだよ久司朗。
そういう意味では、大きな不満点であるはずのシナリオの薄さ・ご都合主義的な展開も久司朗のキャラのおかげであまり気にならない。当初の煽りからすると後半ではシリアスなノリになっていくのかと思っていたけれど、実際には一部のルートを除いてはわりと緊迫感が薄い展開のまま続く。普通ならばそれを不満に思うはずなのだが、物語の主軸である久司朗が非情になりきれない厨二を気取っただけの心優しい青年なので、そんなヌルい展開でもいいかなという気持ちになってしまうのだ。その辺、マジもんのピカレスクではなく、あくまでピカレスク“風”の物語であるというのもエクスキューズ。ただまあ、そんなヘタレな946ではあるが、作中で語られる「追い詰められることで本領を発揮する」という人物評のとおりに肝心要のところではビシッと決めてくれるので、あまりストレスは溜まらないな。

久司朗と対になる相棒兼共犯者兼メインヒロインである光理だが、これもまた良かった。ミヤスリサのキャラデザは破壊的なまでに可愛いし(特におっぱいと悪魔デザインのアクセサリ)澤田なつの演技も素晴らしい。久司朗をからかうための誘惑台詞とか久司朗にツッコミを入れられたときのわざとらしい演技とか、耳が妊娠するかのごとき威力ですよはい。「あいたっ」とかのボイスを延々とリピートし続けたのは俺だけじゃなかろう。それでいて、物語内での役割付けやキャラ相関関係におけるポジションについては今まであまり見かけなかったタイプなので目新しさもあるんだよな。コードギアスでいうところのC.Cポジではあるんだがアレとはまたちょっと違う感じで、本人以外のルートで存在が消えていくところの遣り取りとかがお気に入りですよ。

そんな久司朗と光理という特異なキャラと関わり合うことの作用によって、そう特別な性格付けをされている訳でもないメインキャラ勢にも魅力が生まれてくるのが本作の面白いところ。メインヒロイン3人の中では姫乃がダントツで可愛くて、血迷って抱き枕を買ってしまいかねないレベル。珍しいクール系ダウナーなアグミオンというのもなかなかに美味でございました。翆名は可愛いけれど、メインヒロインとしての可愛さよりもサブの立場になったときの役回りの美味しさとか腹黒さの方がより強い印象があるのがなー。でもギフトを使用しているビジュアルは一番好き。サクラは…犠牲になったのだ(以下略)
サブでは誰が取り立ててという訳でもないけれど、どのキャラも相応に可愛い。その中で敢えて言うならばアイリスかな。物凄く狙いすぎのキャラ立てではあるけれど、可愛いことは可愛いから何も言えない。声も杏子御津だし。あとパティのちょろ可愛いさは異常すぎる(佐藤しずくの馬鹿キャラマジ最高!) 数は少ないけど地味に男性キャラも良くって、西九条先生はその素敵ボイスだけですべてを持っていっちゃうのが卑怯すぎでございます(つかエルシャダイネタはその存在だけでも笑えてしまうから困る)。僚樹はその前に『神咒神威神楽』をプレイしてたんで、覇吐がオーバーラップして困ったけど。
というか今作品は全体的にキャスティングが上手。豪華声優陣がキャラの魅力を上手く引き出しているものだから、声優の演技による補正が大きいのなんの。シナリオ展開のアラとかをあまりグダグダ言う気にならないのもその辺の効能によるものが大きい。

しかし、エロシーンにはとてもとても不満があった。ともすればFD要員にされがちなメイン格以外のキャラにもちゃんとエロシーン(と、個別ルート)を用意してあること自体はとても偉いので素直に賞賛したい。回数としてはもメインの聖女候補(+光理)は2回でその他サブは1回の合計13枠と、トータルの分量を考えればそれほど悪くはない。無いのだが、そのエロシーンの実用性がとても微妙だ。1回のシーン枠の中でフェラで発射→本番で発射とか、膜を破って発射→そのまま連戦なんて具合にシチュエーションを変え、発射回数を増やして頑張ってはいるのだけれど、根本的にエロテキストの描写がヌルい。ついでに演技も(声優補正は効くけれども)ヌルいし喘ぎ声もあまり激しくない。ういんどみるは「萌え重視のブランドだけどエロも頑張ってます」的なところで特徴を出していたメーカーという印象があったから、エロにはそれなり以上に期待していたので「もっとやれたはずなのに、何故…」とガッカリ。なまじキャラが可愛いだけにガッカリ感は更に倍。どうしてこうなった。まあ全体ボリュームからしたら仕方ないのかもしれんけど、それでもさー。


思いっきりネタに偏ったニコニコ動画での公式実況を始めとして、良くも悪くもフラットな(万人受けする間口の広い)萌えゲーを作るメーカーだと認識していたういんどみる作品としては挑戦的な方向性だったのだろうが、今回についてはその挑戦は概ね成功しているのではないかと思う。ご都合主義的な物語展開とかヌルいエロとかサブヒロインのルート短すぎとか内容にケチを付けたいところはとても多いのだけれど、好き嫌いで言うならばとても気に入った。……というか、今までプレイしたういんどみるのタイトルの中ではこれが一番好きかもしれない。この物語世界にもっと浸っていたいからもう1周再プレイしようかなと考えてしまうくらいに愛着を持ってしまったよ。今までは「HHG」という略称では旧Cat's Proのハートヒートガールズ(林家志弦のアレ)しか思いつかないような老害思考だったんだけど、今後はこっちの方が先に立ってしまいそうだ。(ちょっと消化不良の感があったエロシーンを補完するという意味合いにおいても)ファンディスクが出るならフルプライスだろうが全力でルパンダイブする所存でございます。
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