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Every Little Thing 『Every Best Single ~COMPLETE~』

Every Best Single ~COMPLETE~ - Wikipedia
Amazon.co.jp: Every Best Single ~COMPLETE~【Encore Edition】: Every Little Thing, 槇原敬之: 音楽

価格が高いので躊躇していたんだけれど、Amazonで期間限定セールをやっていて半額だったので購入。いわゆるシングルベスト(+PV集)だが、こうやってまとめて聴くと、当初からの音楽性・方向性の変化が俯瞰できてなかなか面白い。


ELTが一番華々しかった時期は、やはり初期の五十嵐充プロデュースで「Time goes by」や「Dear My Friend」「出会った頃のように」などがブイブイいわしてた頃になるんだろう。当時の持田香織の透き通るようなハイトーンボイスにいかにもエイベックス!というデジタルサウンドの組み合わせは、今聴いても破壊力がデカい。(趣味に合うかは別とすれば)なるほどあれだけのセールスを叩き出すだけのことはあるなあと納得させられる。今になって聴き返してみると、この時期のELT(というか五十嵐充か)のサウンドってものすごーくアニソンっぽい。エレガあたりが書いて水樹奈々あたりが歌ってランティスからリリースしました!とか言われてもうっかり信じてしまいそうな感じ。
自分としてはその時期のELT(というか当時のavex系)は趣味が合わなかったため、真面目に聴くことはなかった。TM NETWORK時代の"小室哲哉"が大好きで、プロデュースワークに本腰入れるようになってからの"TK"に対しては複雑な心境だったから、avex系全般をまとめて敬遠していたということはあるかもしれない。

しかしそこで、メインを張っていた五十嵐充が脱退(このアルバムでいえばDisc 2の頭)。その後は持田香織と伊藤一朗(ギター)の二人体制に。話によると、この時期に持田香織が喉を痛めてしまい初期のようなハイトーンの声が出なくなったらしい。その辺の事情もあったのか、この時期の楽曲は「fragile」みたいな今までのイメージに寄り添った楽曲もあれば「jump」のような元気なポップロック調の曲があったり、今までのストレートな歌い方と巻き舌っぽい歌い方が混在したりと試行錯誤の跡が見られる。この時期もスルーというか、腐ってもELTだからテレビやCMやら有線やらで聴くことはあったけれど、特に何かを思う事はなかった。


そんな自分がELTに興味を持つ切っ掛けになったのは26thシングルの「ソラアイ」。(今にしてみれば、ひとつ前のアルバム『Many Pieces』あたり(ベスト盤Disc 3)の頃から方向性は変わりつつあったように見えるが当時は分からなかった)持田が以前のようなハイトーンボイスを出せなくなり巻き舌っぽい歌唱に切り替えたからか、なんともいえない切なさを伴った情感が歌声に伴うようになっていた。それに合わせるかのように、サウンドはアコースティックっぽさを意識した落ち着いたものに。晴れでも雨でもない曖昧な空模様に自身の心情を重ね合わせた味わい深い歌詞。ただ淡々と落ち着いている訳ではなく、次第にグイグイと盛り上げて曲の最後に感情のピークを持っていく(良い意味でJ-POPらしい)ドラマティックな構成。
有線やラジオで掛かるたびに耳を奪われては「誰だろう?」と疑問に思っていたところをELTの新曲だと知っては驚き、Dragon Ashの降谷建志(Kj)が当時の雑誌インタビューで「ソラアイの歌詞が良かった」と語っていてその意外性に驚き、そこで物は試しにと当時新しく発売されたアルバム『commonplace』をレンタルで借りてきたところ、それまで抱いていたELT像とは全然違っていて「別モンじゃねーか!」とひっくり返った。(ちなみにこの『commonplace』はCCCDでのリリースだったので、レンタルで済ませたままいまだに買っていない。CD-DAでリイシューされればすぐに買うんだけどなあ)
その後も「恋文」「きみの て」と名曲を連発されるに至ってノックダウン。定期的に動向をチェックするようになって今に至る。自分の場合『パルフェ~chocolat second brew~』の里伽子ルートをやり直す度に何故かかならず「きみの て」が脳内で再生されます。あの曲調とあの歌詞が俺にとってはなんとも里伽子っぽいんだ。

『commonplace』『Crispy Park』『Door』『moka」(持田香織ソロ)の4枚は、初期のELTのイメージを持っている人よりはJ-POPを普段聴かないような人のほうが反応しそうな作りになっていて、もっと注目されてもいいんじゃないかなーなんて思ったりする。持田のソロアルバムなんかは、原田郁子(クラムボン)・おおはた雄一・SAKEROCKってコラボ相手の名前に釣られて買っても損をしない出来だと思うんだけどなー。
それで思い出したが、持田香織と、井上陽水をはじめとした他のアーティストとの客演が増えてきたのもこの時期。先述の降谷建志とはDragon Ashのベスト盤『The Best of Dragon Ash with Changes』収録の「wipe your eyes」(名曲!)で持田香織がコラボしてるんだけど、その縁からか、今回のベスト盤収録の「Time goes by ~as time goes by (Kj MIX)」では降谷がリミックスを担当している。近年のKjの趣味を反映してか、まさに「wipe your eyes」を連想するようなアンビエントな浮遊感のある仕上がりでなかなか良かった。

シングル「DREAM GOES ON」から初期メンバーである五十嵐充を再びコンポーザーに迎えて、アルバム『CHANGE』を作り上げ初期からのファンからの歓迎を受けたが、初期のようなハイテンションサウンドに戻るのではなく、それまでの数枚の路線を生かしつつも軽快でポップなサウンドに仕上げられていて感心した。……が、悪くはないんだけれど、いまいちグッとこないんだよなー。「ソラアイ」に心を掴まれた身としては、そろそろHIKARI作曲の楽曲とか復活しないものかと密かに期待しているんだけれど。


いかにもエイベックス!という仕掛けから始まったユニットが、どのように変遷してサバイバルしていったのかを通覧できる良いベストだった。ELTはベスト盤多すぎだし。初期のイメージを上手い具合にぬぐい去ってイメチェンしたという点では、同じエイベックスの安室奈美恵と通じるところもあるのかもしれないなあとふと思ったりもする。
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Cocco×根岸孝旨のタッグのニューシングル

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TOKYO No.1 SOUL SET 「BEST SET」

Amazon.co.jp: BEST SET: TOKYO No.1 SOUL SET, TOKYO No.1 SOUL SET feat.スチャダラパー, TOKYO No.1 SOUL SET + HALCALI: 音楽

TOKYO No.1 SOUL SETのオールタイムベスト。今ではAVEX所属のレーベルメイトとなっているスチャダラパーのベストと同時発売だけれど、スチャは木村カエラと、ソウルセットはHALCALIとのコラボがあったから底上げ出来てるんだろうなあと思うとちょっと複雑な気持ちにならんでもない。ショボショボになってしまうくらいよりは全然いいけど。

選曲については、再始動後にリリースされたベスト盤『Dusk & Dawn』が誰得な内容だったことに比べれば大分マシ。初っ端に「JIVE MY REVOLVER」を持ってきたり、「ヤード」から「Jr.」に繋げるあたりは分かってるなあと感心した。でもインスト曲を入れるくらいなら「27 TO 28」や「夜明け前」を入れてほしかったし、「Sunday」は別に新録音しなくても良かったんじゃないかなーと疑問に思ったり。もっと言えば『OUTSET』から「The Fifth Door」や「OUTSET」が入ってないのはなぜだ。特に「OUTSET」が入ってないのは超不満。「Beyond The World」はすげえ好きな曲だけど、微妙に「Jr.」と雰囲気が被るから「OUTSET」の方が良かったんじゃないかなーと思うんだけどなあ。

スチャダラパーとのfeat.曲「STARDUST」は『OUTSET』以降のバックトラックの上でスチャが遊んでるって感じで、悪くはないけれどあまりピンとこなかった。個人的にはスチャのベスト盤収録のfeat.曲の方が好み。HALCALIとコラボした「今夜はブギー・バック」は……別に“ソウルセット”である必要ないじゃねーかと何度聴いても思う(笑)。HALCALIは可愛いけどさ。




ふと思い立って検索してみたら、まさかの春香と「ヤード」の組み合わせのMADを発見。しかも手書き!すげえ!! アイマス紙芝居でもあまり見られない、そっと評価されるべきタグがよく似合う感じの作風で本当に良かった。

THE YELLOW MONKEY 『COMPLETE SICKS』

Amazon.co.jp: COMPLETE SICKS(DVD付)Blu-spec CD(TM): THE YELLOW MONKEY: 音楽
COMPLETE SICKS [Blu-spec CD+CD+DVD]<完全生産限定盤> - TOWER RECORDS ONLINE

価格がめちゃくちゃ高いのと先にリリースされたトリビュート盤が絶妙に微妙な出来だったのと(いや、いいカバーもあったんだけど全体的に見ると…うーんうーん)もう学生時代からリアルタイムで何度繰り返したか分からないくらいに聴き倒したアルバムで今更感漂うのとでどうしようかと思っていたけれど、結局我慢できずに買ってしまった。

デジタルリマスターされたという話だが、自宅のヘボい視聴環境でも一発で分かるくらいに音質が向上していて驚いた。大きな音の塊が向かってくるみたいな感じだったオリジナル盤に比べると、全体的に音の輪郭がクリアになって、ひとつひとつの楽器とボーカルとが立体的にとぐろを巻いて絡みあいながらグワッと迫ってくるような感じ。特にアニーのドラムがオリジナルに比べて格段に際立っている。こんなにカッコ良いドラミングだったっけなあ?(笑)吉井の声も、当時からえもいわれぬ蠱惑的なエロさがあったけれど、それでも今に比べると若さを感じるのが微笑ましい。
「天国旅行」「楽園」「人生の終わり」なんかがガチで良いのは当然だけれど、なによりも大好きだった「花吹雪」が更に良くなっていたのが嬉しい。リリースされた当時、学校をサボって近所の自然公園をあてもなくフラフラと散歩していた頃を思い出して懐かしくなってしまった。キャッチーさという点では一つ前の『Four Seasons』やこの後にリリースされた『Punch Drunkerd』の方が勝っていると思うけれど、イエモンってバンドのピークポイントは「JAM」からこのアルバムを出して「BURN」をリリースするあたりまでだったなあ……と再認識。吉井和哉ソロも継続して聴いていてそれはそれで好きなんだけど(『VOLT』は本当にカッコ良かった)イエモンだからこその魅力はやっぱり大きかったんだなあと。

だが、不満点も山ほどある。まずDisc 2のデモ音源が超微妙。どうせなら未発表音源とかの方が嬉しかったんだが、本当に“デモ”ばかりで評価に困る。リリースに至る過程を知ることが出来るという点では興味深くはあるけれど。
んでブックレットも要らん。分厚くてしっかりと作ってあるとは思うけれど、おかげで三方背ジャケットがでかくてディスクを取り出しにくいったらありゃしない。
そして何よりも値段が高い。なんだよ8400円ってどんなボッタクリ価格だよ。CD+DVDの二枚組で半額とかの方が、イエモンを知らない世代の人たちがアクセスするキッカケになって良かったんじゃないのかなあ。解散したバンドの商売なんてそんなもんだ、完全限定生産だからこれを買うのは余程コアなファンばかりだからいいんだ…と言ってしまえばそれまでなんだけど。

スチャダラパーとTOKYO No.1 SOUL SETのコラボ

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Syrup16g BOXセット発売

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Curly Giraffe 『Thank You For Being A Friend』

いつのまにやらえらく人気が出ていて驚いたCurly Giraffe(GREAT3の高桑圭)の企画盤で、新居昭乃やらCharaやらCoccoにボニーピンクといった豪華な女性ボーカルをフィーチャーしたカバーアルバム。
オリジナルはもうちょっと静かというか単色のトーンのイメージが強い作風でそこが魅力なんだけれど、今回のカバーは華のある女性ボーカルとバンド演奏によって、おなじ柔らかな色彩でも秋の紅葉のように色鮮やかな印象を受けるようになった。実力のある女性シンガーが歌うことで、その潜在的な良いメロディが浮き彫りになり、ググッとポップな楽曲に見えてくるのが凄い。
Curly Giraffeは(正体が高桑圭らしい、と今ほどには知られていなかった頃の)デビューepからずーっと聴いていて、1stが一番好きでそれ以降のアルバムはそれなりだったけれど、今回のこれはかなりツボにハマった。個人的にはHONESTY(高桑圭と曾田茂一のユニット)の2ndをなんとなく連想したり。

しかし、Curly Giraffeは好調だし、片寄明人がやってるChocolat & Akitoも好調みたいだけど、GREAT3本体はいつになったら再起動するんだろうか。

COCCO CHAnNEL オープン

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CoccoドキュメンタリーDVD

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Cocco 『こっこさんの台所CD』

Amazon.co.jp: こっこさんの台所CD: Cocco, 堀江博久: 音楽

先に公開されている曲名などから、『きらきら』路線のピースフルな感じかと思ったら、思っていたよりも切迫感のある楽曲だった。1曲目の「絹ずれ」は、ここ何年かのCoccoの楽曲としては良い部類。とはいえ、全体としては散漫な印象が残るし、歌声に張りがないのが残念だ。(まあ『ジュゴンの見える丘』ほどに酷くはないが)

うーん、これはライブが観たくなるな。『ザンサイアン』以降のCoccoは、音源を聴いただけでは今ひとつピンと来ないものが多く、その後のライブツアーで生のCoccoの感情に触れることで、なるほどこういう表現がやりたかったのかと納得する(腑に落ちるといってもいい)ことが多いから。特に前作の『きらきら』ではそれが顕著だったし、今回も生で聴いたら違う感想になるような気がする。
それは、翻せば活動休止前のディレクションが極めてレベルが高く、音源にその生のテンションをきっちり封じ込めていたのだということを証明してもいるのだけれど。

今回はプロデュースが「Cocco × 堀江博久」名義となっており、長田進の名前が無かっていたことに驚いた。タワレコのインストアイベントでは長田さんがギターを弾いていたというレポがあったから、今回も長田プロデュースによる『きらきら』の延長線上にある路線なのだろうと想像していたので。
根岸孝旨は前作『きらきら』の時にプロデュースから離れたから、今後はDr.StrangeLoveが一切関わらない音源も増えていくのだろうか。だとすると、デビュー直後からCoccoの活動を追い掛けていて、毎回根岸さんが手がけるサウンドにノックアウトされていた身としては少々寂しいものがある。
でも、『ザンサイアン』でも、無理に過去のCoccoのイメージと合わせようハードなサウンドに仕立て上げたような楽曲があったから、当時すでにCoccoと根岸の意識に乖離があったのかもしれないな。だとすると、今のようにすこし距離を置いているのは正解なのかも。(「音速パンチ」がシングルとして切られたときは、復活第一弾でカマすのはもうこれしかないだろう!と拍手喝采だったんだけけどなぁ……)


今回は、発売前の雑誌で拒食症のことが語られていたから、受け手としての姿勢に妙なバイアスが掛かってしまっていることは否定できないな。もう少し時間が経ったらまた別の感想になるんだろうか。