羅川真里茂 『朝がまたくるから』 第3話

別冊花とゆめで、羅川真里茂の連作短編『朝がまたくるから』の新作が掲載されていたので読んだ。前回の物語がわりとハッピーなものだったけれど、今回は1話と同様に重めの話。今売られている月刊少年マガジンに掲載された『ましろのおと』もそうだが、物語の筋そのものはそう奇抜なものではないのに構成の上手さでつい読み込まされてしまう手妻はさすがの一言。

ただ、当初からそこまで上手だったという訳ではなく、『赤ちゃんと僕』の連載中にグングンと力量を上げていったという印象が強い。赤僕の両親の馴れ初め(本当に良いエピソード!)を単行本1巻分くらい掛けて描いたあたりから、今の作風に繋がっていったという印象がある。
彼女はかつてJUNEに投稿していた経歴があるそうだが、確かに彼女の作品にはどこか“初期JUNE”を思わせる影があって、しかしそれだけで終わらせないポピュラリティも兼ね揃えていて、そこがたまらなく好きなところだ。『ニューヨーク・ニューヨーク』などはその極みだろう。

羅川さんは『しゃにむにGO』完結以来ちょっと大人しかったけれど、『いつでもお天気気分』の連載開始に月マガでの連載と、最近は良い話ばかりで嬉しい。
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『医龍 Team Medical Dragon』 スペリオール24号

小学館コミック -ビッグスリーネット-[ビッグコミックスペリオール:医龍]

いや、この発想はなかった。

前半の方は国立と軍司の顔芸おもしれーとか笑っていたけれど、まさかこう来るとは。伊集院が「それでも朝田なら…朝田ならなんとかしてくれる(AA略)」とかやってるのは狙っているなあと思ったが、確かに読者は、朝田ならどんな逆境でも(一部例外はあれど)その化け物じみた技量でだいたいリカバーできてしまうだろうと安心してしまっていた側面があったから、その朝田が苦境に陥った時にどうなるのかというのは予想がしにくい。慎吾も緊急手術をしなければいけないだろうから、朝田とあわせて二元同時手術とかやるのかな。

野口のオペが終わった時点で順当に終わっていく気配があったから、国立と慎吾の確執や軍司との絡みなんかは「今更描いても蛇足の印象があるなあ」などと思っていた。でも、それは今回のこの展開に繋ぐ布石だったとしたらしてやられたものだ。やっぱり面白いわ、この漫画。

『ツバサ -RESERVoir CHRoNiCLE-』 完結

コミックナタリー - CLAMP「ツバサ」完結、最終巻と最新原画集を11月発売
ツバサ:CLAMPの2000万部マンガが「完結」 6年の連載に幕(まんたんウェブ) - 毎日jp(毎日新聞)

なんだこの納得のいかねー結末は。

いや、連載当初はそれなりに上手くいっていたはずだ。CLAMPオールスターの漫遊記としては、ブチブチ細かい文句を言いつつも続きが気になる程度には面白かったと思う。大阪で『X』の空汰と嵐が補完されていたことは感慨深かったし、(当時の)小狼も少年漫画の主人公としてちゃんとしていたし、サクラは可愛かったしな。
でも、やはりCLAMPだからというべきか、路線変更した東京編あたりからどんどんどんどんつまらなくなっていった。つーか物語が確信に近づくほどにつまらなさ・話の分かりにくさに加速が掛かっていくんだよクソッタレ。コピーとオリジナルの関係とか、単行本で読み直しても把握できねえっつーの。連載当初から読んで居れば、真小狼/サクラよりもコピー小狼/サクラのほうこそ思い入れる対象なのに、そのコピーたちがオリジナルを生かすために自分達が犠牲になってしまう展開にはどうにも納得できんわ。
んでそこまで訳の分からんネタを盛大に振りまいておいてさあどうやって収集付けるのかと思ったら豪快に投げっぱなしだもんな。

まあ、CLAMPらしいといってしまえばたしかにこれほど“らしい”終わり方もないんだけど。
デビュー作の『聖伝』の時からこっち、マトモに風呂敷を畳めないダメ漫画家というのは嫌というほど知ってたが(ところで『X』の完結はまだですか)大マガジンで連載してんだからと心許りの希望を抱いていたがやはり駄目だったか。というかダメというのは嫌というほど理解しているはずなのになんで懲りずに単行本を買っちゃうんだ俺は!!
CLAMPと高河ゆんって同人活動から商業作家という今や主流となってしまったラインの先駆けであり頂点と言えるけれど、同時に最底辺でもあるよなあ。


……あー、でもCLAMPは『カードキャプターさくら』があったな。ロリにも丹下桜にもぜーーんぜん興味なかったけれど、あれは何気に少女漫画として極めて正しかった作品だ。最終巻の歪みも同性愛も殺し愛もなにもない、真っ当な恋愛模様は微笑ましくて眩しく、それがゆえに愛おしかった。あの頃の健気で“男の子”していた小狼はCLAMP作品で一番好きなキャラだわ。

冲方丁関連の話題

今日売りのアワーズでさめだ小判による『スプライトシュピーゲル』の漫画版が連載されていたので、そういえばシュピーゲルシリーズの続きとかどうなってたんだっけなと調べてみたら

ぶらりずむ黙契録

『マルドゥック・ヴェロシティ』のコミカライズだ…と!?

いやいやいやいや『マルドゥック・スクランブル』の方はまだ分かるけど、あの暗くて重いヴェロシティを漫画化するとはなんという蛮勇か。というかどこの雑誌だそんなチャレンジャーは。てゆかスプライト@少年画報社といいオイレン@講談社といい、なにげに角川系列ではない出版社からのコミカライズになってるのは何故なんだろうな。

そういえば上記リンク先を見る限りではシュピーゲルシリーズ完結編らしい『テスタメント・シュピーゲル』は角川スニーカーから出るようだが、そうするとスプライト側の灰村キヨタカによる挿絵はもう見られないのだろうか。だとすると残念だな。

『医龍 Team Medical Dragon』 最新号

なにこの燃える展開。野口教授のオペが国立からバチスタチームに移ってからの流れは、お約束とは思いつつもググッと燃えるものばかりだったが、今回は間違いなくその集大成。ヘタな執刀医顔負けの速度と丁寧さで緊急執刀をこなしていく伊集院の姿には、なんとも形容できないカタルシスがある。
幼児のバチスタ手術でトラブルが発生した際、朝田が「弁形成の助手を務められるか?」と問いかけたときには拗ねて「嫌だって言ってもやらせるんでしょう?」とか減らず口を叩いていた伊集院が、朝田の目をしっかり見て揺るがぬ表情で“出来る”と即答するなんて!

普通なら「研修医が専門外の手術をやるとか(どっかのゴッドハンド以外)ありえんだろ常識的に考えて」となるところだが、読者は今まで20巻以上をかけて伊集院が成長していくところを見続けてきている。
朝田の下でバチスタ手術のためにスキルを上げ(ex: 乳児の緊急に対しての対応、グラフト採取の手際)、ERや急患で様々な症例を見て経験を積み、軍司との絡みで理想の自分に近づくにはどうすればいいか考え続け、手がけた患者の遺族と対峙することで“医者であること””患者のために全力で走ること”を引き受けた今の伊集院ならやれるだろうと納得させられてしまう。そのことが凄い。

ただのどこにでもいる平凡な研修医だった伊集院が、朝田やとっつぁんの薫陶を受け色々な患者の存在を乗り越えて「理想の医師」に一歩一歩近づいていく様が、加藤にとっては医局を改革する(未来を切り開く)理由として意味づけられていたので、伊集院が今回活躍した意味合いは作品としてもとても大きいんじゃないだろうか。


しかし、野口のオペ開始からこっち、国立の道化っぷりがありえない勢いで進行しているのはさすがに可哀相に思えてくる。この後の展開で挽回してほしいものだが、ヘタに評価が戻ってしまうと加藤ちゃんの教授戦の目が無くなるわけで……難しいなあ。

サイボーグ009 完結編構想ノート

コミックナタリー - サイボーグ009完結編構想ノート、お台場で公開中

このノートの内容をそのまま市販してくれないものかな。未完に終わってしまったから期待度が膨らみすぎているだけで、実際に出てみたら筋が通ってないメモ書き程度のものでガッカリするのかもしれないが、石森章太郎がどういう思考をたどっていったのかというのはすごく興味がある。

息子が書いた完結編小説も、単体ではとても評価できない微妙すぎる代物だったからなあ。一体どこまでがオリジナルなのかも判然としないし。いちおう、完結するまで付き合うつもりではいるけれど。

堤抄子のWebコミック

堤抄子の本人サイトに、Webコミックのページが出来ていた。今のところ掲載されているのは、過去のエッセイ(一番最初は10年以上前、まだエルナ1が連載されていたころのニュータイプだったか)と、以前にホームページ上で、数量限定の同人誌の形で配布された短編の再録。

同人誌については、実は抽選で当たって現物が手元にある(笑)のでそれほど嬉しくはないけれど、ごく一部の人にしか読まれないままで埋もれてしまうよりはよほど良いと思う。単行本でさえ埋もれてしまいがちだし。Webでの公開なら無料で読めるから、これを機会に少しでも読者が増えればそれが一番いいことなんだろうな。

今月のComicリュウ

発売日から数日遅れたけど、雑誌やら新刊やらとあわせて査収してきた。

本当に機神幻想ルーンマスカーが載ってやがる!!

……これは本当に現実なのか。俺は夢でも見てるのか。予告が載っても新装版が出ても本当に連載が始まるまでは信じてなかったけど(何しろ前科がありすぎる)目の前にあっても今なお信じられない。つうかドラマガの本誌連載からもう何年だ?15年以上か?確かソードワールドリプレイが第三部(バブリーズ)が始まる頃にはもう載ってなかった記憶があるからなあ。富士見のほうで連載再開する(単行本も出る)って噂が出てから数年、まさかこんな形で現実になるとは…。でもまあ、隔月連載だとしてもちゃんと掲載されるとは微塵も思ってないけど。今年中にあと1回くらい載れば御の字じゃね?
それから、新装版(徳間版)の1巻は富士見時代のものに比べて格段に紙質が悪くなっていて不満だ。2巻が出るまであと10年以上待つ必要があるのは確定的に明らかなのに、ダメージが酷くなるじゃないか。

今月は伊藤勢の新連載があるのも嬉しい。夢枕獏のタッグはすでに『荒野に獣慟哭す』で実現ずみだけど、作風の相性はやっぱいいいなあ。相乗効果で更に面白くなっている。……どうせなら荒野を再開して欲しかったけどな。あそこからが盛り上がるところなのに、マガジンZが飛んだ煽りで豪快に打ち切られたからなあ。伊藤勢作品としてはいつもの事だけど。


しかし、ゼオライマー完結編の時にも思ったが、Comicリュウってつくづくオッサンホイホイな雑誌だなあと。面子もいかにもな連中ばっかだし(ちょお嬉しいけど)。これで超人ロックの連載でも始まれば完璧なんじゃないのか。そろそろロックの第3段階が発動してアワーズかフラッパーが消滅してもおかしくないしね。

藤田和日郎魂

コミックナタリー - 画業20周年記念集「藤田和日郎魂」発売、サイン会も

これは買わざるをえない。講談社で連載されていた『黒博物館スプリンガルド』(続編マーダー?)なんかが収録されているのがいい。『からくりサーカス』のルシールやエレオノーレの最後の姿がまたカラーで見られるというのも嬉しい。どちらも色彩鮮やかなカラー原稿だからこそ、初見で鮮烈な印象を残した回だったから。

今連載している『月光条例』はからくりサーカスの中盤以降と同様、設定に物語が振り回されてる感覚があって、話の流れに乗り切れない。登場人物が(特に月光が)自身のパーソナルではなく、作者の主義主張を喋らされているように見えてしまうのもキツい。
作り手が劣化しただけ…という見方もあるかもしれないが、青年誌で描いていた邪眼やスプリンガルドは面白かったからなあ。個人的には「少年漫画」のフィールドで頑張ろうとしている藤田和日郎は好ましく思っているので、なんとか盛り返してもらいたいところ。(設定とかで突っ込みどころはあるけど)赤ずきんのエピソードなんかはグッと来たし。


ところでサイン会というのは、リアルで富士鷹ジュビロが降臨するフラグなんだろうか。どうせなら炎尾燃島本和彦と一緒に回って貰いたいものだ。そしたら絶対行くよ。
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